Shall We Dance プロトタイプ #自創作アーカイブ #マドメモ全般 2022年のボツシナリオが結構ごっそり出てきたので、全部載せます ノベルゲームに組み込む前の走り書き 色々あっさりでまとまってない 💫共通ルート(冒頭) 続きを読む──月並区まどろみ町は、超常現象が起きる不思議な町だ。 かつて月から堕ちて来た“隕石”のせいだと、ひとびとは言う。 でも、本当は違う──月の魔力は、ひとりの少女の夢の世界を選んだのだ。 ただ、それだけのこと。 だけど、今回は夢は関係ない。 これはちょっとした──可能性のお話。 ★ ・小百合 いってきます! ・ 勢いよく玄関の扉を開ける。今日も気持ちのいい朝。 大きく伸びをしていると、後ろからぱたぱたと足音が聞こえる。 ・あめり 小百合さん、待って── ・英里 せっかちすぎだよ ・ 薄雪 あめりと 緑谷 英里 このふたりは わたしの同居人── 今は“家族”の子どもたちだ。 ・小百合 あめり、英里? どうしたの? ・桃也 どうしたのじゃないわよ アンタ、お弁当忘れて お昼は何食べるつもりだったの ・小百合 え……? ホントだ、忘れてた ・桃也 まったく。挨拶だけは一人前ね ・ ここの家主──陣内 桃也さんがわたしに呆れたようにそう言う。 別にめずらしいことじゃない。わたしはよくものを忘れがちだ。 ・小百合 ごめんなさい ありがと陣内さん…… あめりと英里も! ・あめり う、ううん…… じゃあ、私たち 行くね ・英里 もう わすれものしちゃだめだよ ・ 駆けていくふたりに手を振る。 おっと、わたしもぼんやりしてる場合じゃない── ・真人 ──ドジ ・桃也 真人ったら、一言多いわねぇ 言わないようにしてたのに ・ 陣内さんのお小言もほとほどに わたしは歩き出す。 さっきの──古荘 真人はわたしと同い年。 そうだ ちょうど、わたしの“家族”の顔見せができちゃったね。 孤児院「こよみの園」。 わたしの──もうひとつのお家だ。 *** ・ わたしの名前は「一花 小百合」。 月が丘女学院という学校に通う、高校二年生だ。 ──わたし、最近まで引きこもってたの。理由は 家族について。 あ、さっきの子たちじゃなくて──本当の 家族のこと。 双子のお兄ちゃんは わたしを庇って事故に遭ってしまった。 わたしのお母さんは それを苦にして遠くに行ってしまった。 全部 わたしが悪いんだ──そう思って 生きる希望を失くしていたの。 でもね 今はとりあえず 持ち直して…… 人並みの生活 送れてると思う。 それは、わたしを支えてくれたみんなのおかげで── わたしは それに応えなきゃいけないって思う。 自分の過去のことばかりじゃない。 いろんな不思議なことが起こる この「まどろみ町」が、わたしは大好き。 *** いつもの道を通って、月が丘女学院に辿り着く。 学校は相変わらず 品の良い空気をまとっている。 ・あやめ ごきげんよう 小百合さん! ・巴 おはようございます ・小百合 あやめ、巴ー。おはよっ ・ おさげの女の子が赤井沢 あやめ、緩やかなロングヘアの女の子が葛籠 巴。 月が丘女学院でできた わたしの大切な友だちだ。 ・あやめ ご存じ? そろそろ“夢見祭”の時期ですわ! ・巴 ああ そうですね! また町がにぎやかになりますね ・小百合 ──“夢見祭”? ・あやめ そうですわ! 去年から我が「まどろみ町」の恒例行事になったじゃない 私のお家も協賛ですからね 今年も 盛り上げますわよ~ ・巴 あやめちゃん 小百合ちゃんはすこしお休みしてらしたから…… もしかしたら ご存じないのかも ・ 巴の言うとおりだ。はじめて聞いた…… えへへ──さっき まどろみ町が大好きだって話をしたのに 説得力 なくなっちゃったね ・巴 “夢見祭”。まどろみ町の住民総出で行う お祭りですよ 自治体が主導で行っていますから 月並区の町おこしの一環でしょうか 去年の夢見祭が 好評で──恒例行事になったそうですよ うふふ 私のお父さんもスポンサーなんです ・小百合 へええ…… つまり、町全体でやるイベントってこと? ・あやめ そのとおりですわ! そして今年も前年に倣って 実行委員のメンバーを選抜するのですわ 我らが月が丘は 月桂高等学校と提携予定よ いろいろな企業や団体も バックアップしてくれますわ ・小百合 すごいね ホントに大きなお祭りだ ・ なぜか自分が得意げなあやめに 頷く巴。 ちいさい頃 お祭りには行ったことあるけど それは近所の神社でやってた ちいさいものだった。 今回の“夢見祭”は お祭りっていうより 大きなイベントみたいだ。 ・アザミ ふわあ……朝から元気ねえ 赤井沢さん ・あやめ あら 朽瀬さん ごきげんよう! ・巴 おはようございます ・ ひょっこり現れたのは 朽瀬 アザミ── この子も わたしの友だちだ。 ・アザミ ン。噂だけどさ…… 赤井沢さんが 委員会に立候補決めてるって聞いたんだけど 葛籠や一花さんも一緒に ・小百合 ええっ!? ・巴 まあ…… あやめちゃん 本当ですか? ・あやめ もう話が出回っているの? ですがご名答! 私、小百合さん、巴さん── それから朽瀬さん 霧江さんもメンバーに加えておりますわ 今日 先生から 正式にお話がある予定でしたのよ ・ わたしにとっては寝耳に水だ。 今日はじめて存在を知った イベントの実行委員になってしまった! ・巴 杏子ちゃんと一緒──ですか ・ なんだか恍惚とした感じの 巴は置いておいて── わたしもびっくりしたけど 悪い気はしない。 さっきのお話を聞いただけで ワクワクする要素がてんこ盛りだ! 大好きな まどろみ町の 役に立てるなら悪くない── ・小百合 うん やろうよ! わたし 燃えてきたよ! ・アザミ マジ? かったるいの嫌なんだけど…… その感じだと 拒否権はなさそーね ・あやめ 当然ですわ! 皆で月が丘の代表として 夢見祭を盛り上げて参りましょう! ・みんな おー!! *** ・藤 さて 来週からわが校── ひいてはまどろみ町は “夢見祭”の準備に入ります ご存じですね まどろみ町全体でやる大規模イベントのことです 出店等は勿論 舞台や演劇なども予定されています わが校からも 実行委員を出すようになっていますが 赤井沢さんの提案により 大体のメンバーは決まっておりますよ 人数が多いに 越したことはないので 他にも立候補される方がおりましたら 教えてください ・ 藤先生の言葉に クラスメイト達がざわつく。 どうする? 出る? とか聞こえて みんなウキウキした様子が伝わる。 噂通りのイベントであるのは 間違いなさそうだ。 ・あやめ これもご存じ? 今回の締めの演目も ダンスらしいですわ── ・小百合 ダンス? ・巴 「Shall we dance」ですね 参加型イベントなのですが…… ふたり一組で踊るんです ほら 修学旅行の最後にやった キャンプファイヤーみたいな ・小百合 へえ~ いいね たのしそう ・あやめ んもう 小百合さんったら このイベントの真骨頂は そこではありませんわ ・小百合 え……? *** ・鈴 いらっしゃーい お好きな席に── って 小百合じゃない ・小百合 鈴ー! 聞いて聞いて わたし “夢見祭”の月が丘代表実行委員になったの! ・ミカド 小百合ちゃんが? びっくりだなぁ ・小百合 え──ミカド またサボり? ダメだよ わたしたちの面倒見てくれなきゃ 陣内さん怒っちゃう ・ミカド たまにはいいだろぉ……桃也さん すぐ正論言ってくるから おれの心も 休憩が必要なんだよぉ ・鈴 夢見祭! うちのお店も 出店を出すのよ~ そっか 小百合が実行委員なら 色々情報聞けちゃうわね ・ 木蓮 鈴さんと白梅 ミカドさんも わたしの知り合い。 鈴はここ「マグノリア」の看板娘で ミカドは── 鈴に恋する こよみのスタッフさんってところ。 ・ミカド あー 鈴ちゃん アイスティー無くなっちゃったぁ…… ・鈴 おかしいわねぇ アルコール入ってないんだけど…… ミカドくん 酔ってる? ・小百合 鈴~ 続き聞いてよ 夢見祭 最後にダンス やるんだって 「Shall we dance」だよ 知ってる? ・鈴 ああ! 知ってるわ! 確かふたり一組で 舞台の上で踊るのよね! 去年も演って 話題になったやつ── そこで踊った組み合わせが 結ばれまくったってやつ! ・ミカド えっ…… ・小百合 そ、そう! すごくない? 噂になっちゃうくらいだよ! それってさ つまり── ・ ……わたしも 誰かと踊ったら── ・鈴 なぁにぃ小百合 誰か誘いたいひとがいるの? ・小百合 ち 違うよ~! でも 委員会だから…… 出なくちゃいけないんだよ 誰かひとり 誘うひと決めなくちゃ── ・ミカド そ それっておれでも出られる? ・小百合 え? 当たり前だよ! 一般参加大歓迎だって ・ミカド そ そかぁ……そか…… ・鈴 小百合~ 誰を狙ってるの? 教えてよ! 私 めいっぱい応援しちゃう! ・小百合 へへ……鈴って言ったらどうする? ・鈴 そうねぇ……ダンスの練習をしておくわ! ・ なんて 今日も一日が終わった。 自分だけの世界に いた時とは違う──ままならない感覚。 だけど それが心地よく感じられてきたころだ。 ベットにもぐりこみながら わたしはどきどきした気持ちを抑えられずにいた。 ──誰、さそおっかな? *** ・ 月並総合病院 まどろみ町で一番大きな病院だ。 わたしはここの心療内科に 一年前から お世話になっている。 ──家族を失ったばかりのわたしは あまりにもおかしかったからだ。 いまは 経過観察というかたちで 通院を続けている。 ・看護師 一花さん 1番の診察室へどうぞ ・須賀先生 小百合さん! こんにちは。調子はどうですか? ・小百合 先生、まどかさん こんにちは ・まどか ええ こんにちは! 須賀 宗一先生と 看護師の天衣 まどかさん。 一年前からずっと わたしを診てくれるふたりだ。 わたしはふたりとの時間に いつも安らぎを感じている。 いろんな話をして──泣いたりしたこともあって── もしかしたら 陣内さんたちより 心をさらけ出している相手かも。 ・小百合 あのね──今度 夢見祭があること 知ってますか? わたし、友だちとその実行委員になったの。高校生代表で ・須賀先生 確か……去年から始まった 催しだね。 いやはや とても賑やかなイベントだったのを覚えてるよ ・まどか 実行委員だなんて すごいわ小百合ちゃん! ・小百合 へへ──友だちが勝手に 決めたようなものだけど。 それが一番大きな変化だったかな? あとは 変わらずです ・須賀先生 そうか 君が少しずつ 前に進んでいる姿を見ていると 本当に嬉しくなるよ 入眠についても 変わりないかい? ・小百合 はい──わくわくして 眠れない感じです! ・須賀先生 それはよかった。じゃあ 薬は変わらず処方しておこう ──月並総合病院もね 協賛しているんだよ 夢見祭 ・小百合 えっ! 本当? ・まどか そうなの。きっと あたしたちもお手伝いに行くわ だから そういう相談も気兼ねなく、ね! ・ 心強い味方を経て、わたしは病室を後にする。 なら、先生やまどかさんも ダンスのお相手の選択肢に入れていいかな──? なんて思いながら 処方箋を受け取り そのまま 併設された薬局に向かう前に 面会の手続きをした。 ・小百合 こんにちは ・優 小百合ちゃん! ・京介 小百合 見舞いに来てくれたのか ・ ちょうどいいタイミング! 幼なじみの咲良 優は 昔から心臓の病気を患ってて── 長いこと入院してる。「小百合ちゃんの先輩だね」って 笑ってた。 そして、咲良 京介さんは優のお兄さんだ。 やさしくて カッコよくて──わたしのあこがれのひとなの! ・小百合 えへへ 聞いてふたりとも── わたし 夢見祭の実行委員になったの! ・優 ゆめみ……? ・京介 去年話しただろ まどろみ町でやってるデカいイベントだ 町全体でやる 祭りだな ・優 兄さんが 残業で行けなかったって嘆いてたやつ? ……すごいよ、小百合ちゃん! 立候補したの? ・ チラッと見えた 京介さんの残業事情にドキっとする。 心なしか 京介さんの背中に哀愁が見える── ・小百合 ううん、あやめが勝手に……でも わくわくしてるんだ 優 最近調子はどう? 来れたり──しない? ・優 うん──来週から 一時退院の予定だから…… もしかしたら 行けるかも かな ・小百合 ほんと? ・京介 まあ 立ってないで座れ ここ ・小百合 ありがと 京介さん! ……それでね、わたし 「Shall we dance」に出なきゃで…… あ、ダンスのイベントだよ! 締めにやる演目なんだ それにはね 相手が必要で ・優 うん ・小百合 ……誰 誘おうか迷ってるから そのときはよろしくね! ・ そう言うと 京介さんも優も笑ってくれた。 ・ さあ これからきっと 忙しくなるぞ。 去年開催されたってときは わたしも自分の世界に閉じこもってて── いけなかったお祭り。夢見祭! 孤児院のみんなにも 改めてお話しないと!畳む 💫共通ルート(一回目の事件後) 続きを読む・ニュースキャスター 続いてのニュースです まどろみ町では 着々と“夢見祭”の準備が 進められています 各地の状況を 見てみましょう ・桃也 のんきなもんよねぇ この町 ・小百合 え? どうして? ・桃也 だってそうじゃない E.B.E.の問題 一個も解決してないのに 町はもう お祭りムードよ ・真人 局所的に起こる 奇妙な“超常現象”止まりです── 誰も死んでないし まあいいんじゃないですか ・ E.B.E.(地球外生命体)── まどろみ町に現れるようになった 不思議な生き物の総称。 彼らが起こす出来事は “超常現象”なんて表現されたりして。 まどろみ町は本当に 不思議な場所なんだ。 いまでは“超常現象の産地”なんていわれてる。 「月から隕石が堕ちてきてから こういう現象が起こるようになった」と テレビでやっていた。 ・ 例えば 「ファフロツキーズ」──空からたくさん 焼く前のお餅が 降ってきたり。 「ポルターガイスト」──動くはずの無いおおきなものが 勝手に動いたり。 物が消えてしまったり 不思議な発光体が空を 飛んで回ってたり エトセトラ。 まるで わたしが子どもの頃 描いていた絵空事のような事件ばかりだ。 だけど 桃也さんの言う通り 大抵の住民がのんきにすごしている。 町おこしの一環になるなんて 張り切ってる団体もいるみたい。 ・桃也 そーいや 小百合 何か報告があるんでしょう? ・ みんなの視線が一斉に わたしに集まる。 うう、このタイミングで言うの なんだか気まずい…… ・小百合 えーと……その 例のお祭りの 実行委員になりまして ・桃也 “夢見祭”の? すごいじゃない ・英里 ぼくとあめり姉ちゃんも 一緒に回る予定だった── がんばってね 小百合ねーちゃん “ちょうじょうげんしょう” やっつけて ・小百合 あはは── ありがとう ・ やっつけろ なんて言われてもなぁ。 一応 E.B.E.って 住民独自で対策していいように 言われてるんだ わたしも一回 護身用にもらったナイフで 追い払ったことがあるの そういう意味では 結構物騒な町なんだけど── 「政府が対応してくれない以上 我々で何とかするべきだ」 って 巴のお父さんが 演説してたりしたし みんなそれぞれ E.B.E.との距離感を悩んでいるみたい ・あめり ……大丈夫 成功するわ 私 わかるの ・桃也 あめりの予知は よく当たるからね 怪我しない程度に がんばりなさい ・ よかった 意外とみんな肯定的── こよみのみんなは冷めてて わたしだけ お祭りにはしゃいでるのかと 思ってた ・真人 ……でも 最近 新種のE.B.E.も出てきてるとか “オカルティック・ムー”の 受け売りですけど ・小百合 ひえ…… ・ ──次の日。 無事 あやめの立候補により 実行委員に 当選したわたしたちは 月桂高等学校との 合同の会議に出席していた ・真人 …… ・小百合 あ! 真人…… え 真人も委員会だったの? 教えてくれたらよかったのに! ・真人 ……どうせこうなるから 言わなくてもいいかと思ったんです ・蓮 俺が誘ったんだよー 一花さんの友だちって聞いたから ・小百合 日比谷くん! それに和戸さんも ・ひまわり こ、こん、にちは ・ ふいっと目をそらす 真人の後ろから 日比谷 蓮くんと和戸 ひまわりさんが出てくる。 ふたりとも 優の友だちで──わたしは 顔見知りくらいの関係だ。 ・蓮 だから 咲良も誘おうと思ってさ あいつ 来週から一時退院なんだろ? ・小百合 優? そうだね ……大丈夫かな 疲れないかなぁ? ・蓮 俺と和戸で バックアップするって! な 和戸 ・ひまわり う、ぅん ・小百合 え──彼岸も委員会? なんだか 意外…… ・彼岸 ぼ、ぼくも 日比谷クンに誘われただけ きみがいるって知ってるなら こ、来なかった…… ・ この子は 八乙女 彼岸── わたしたちの かつての幼なじみだ。 ・杏子 なんだか 一花さんの知り合いばかりみたいね ・ くすり と笑うのが霧江 杏子さん。 月が丘の生徒で── 巴とアザミの親友さんだ ・小百合 えへへ そうみたい これはますます やる気になっちゃうね ・蓮 おう “夢見祭高校生実行委員会”だっけ? 俺たちが「Shall we dance」……の運営も やるわけだし たのしくやってこうぜ よろしく!畳む 🪞ミラーミラー編(冒頭) 続きを読む──最近 よく見る夢がある やさしくて暖かくて 目覚めたくなくなる夢だ ・麗 小百合ちゃん 茨くんと今日は何したの? ・小百合 えへへ 公園で遊んで── お花摘んだりしたの! これ お母さんにあげる! ・麗 まあ かわいい花輪! ママのために 作ってくれたの? ・小百合 そうだよ! でも ぼくだけじゃ うまくできなくて 茨も てつだってくれたの! ・麗 小百合ちゃんも 茨くんも── 本当にありがとうね ふたりとも 私の宝物だわ ・ わたしの家だった お花屋さん 名前は「Floweret」 ちいさいけど賑わってたお店 お父さんとお母さんが 一生懸命切り盛りしてたの でも あの日からすべてが変わった── ・小百合 ふう! 買い出しはこれで全部かな? ・ 今日は日曜日── わたしは陣内さんに頼まれて 孤児院の 食材の買い出しに出ていた ・小百合 ねぎと 豆腐と 牛乳と 卵と── ・ 何度も指折り数えながら 帰路へ着く。 十五夜商店街は こういう時にしか来ないからな いろいろ見て帰ろうかな なんて考えてた ・小百合 (あれ── 花屋? あんなところにあったかな? 新しく出来たのかも……ちょっと見てみよ) ・ わたしは花が大好きだ。 それは わたしのお家がお花屋さんだったから── というのも もちろんある。 でも一番の理由は お母さんが花が大好きだったからだ。 ・小百合 わあ きれいなポインセチア── ・麗 うふふ きれいでしょ? ・小百合 ──え ・ しばらく 思考が停止する わたしは 自分の目の前にいる人を 認知できないでいる ・麗 夫とふたりで 育ててるんですよ ・ 嘘だ そんなはずない だってあなたは── ・麗 あら あなたなんだか うちの娘に似てる── 急にごめんなさい なんだか娘が大きくなったみたいで 感慨深かったの ・小百合 …………あ ・麗 そんなに迷惑なこと 言っちゃった? 待ってね 汚れてないハンカチが ここに── ・小百合 おか、あさん ・麗 ? ・ ……ううん そんなはずがない わたしのお母さんは── あの日── ・小百合 す ……すみません 突然 ・麗 いいえ 本当に大丈夫? そうだ ミニブーケをあげますね お花を見て 元気を出してちょうだい ・小百合 あ いや ほ、本当に 気にしないで── ・ ……結局 かわいくて華やかなミニブーケを 受け取ってしまった わたしは なんだか後ろ髪を引かれる思いで 振り返る 笑顔で 女性が 手を振っている ────── *** ・あやめ ……ゆりさん? 小百合さん! ・小百合 え? ・あやめ んもう 今週になってからいつもこの調子ですわ 「Shall we dance」の成功は 私たちにかかっているのよ しっかり頑張って頂かないと 困りますわ! ・優 まあまあ 赤井沢さん── 小百合ちゃん 大丈夫? 具合悪い? ・小百合 あ いや ううん……大丈夫だよ ごめんね ・蓮 マジ? 無理すんなよな 今日の打ち合わせは ほぼほぼ終わったようなもんだしさ ・小百合 ほんと? え えと……なんの話だったっけ? ・優 僕の顔見せと 予算の割り振りだよ もうちょっと ステージを華やかにしようって 話になったんだ ・ あやめの言う通り あの日からわたしは活動に身が入らずにいる あそこにあった花屋さんは わたしの記憶の中のものと 完全に一致していたからだ そして 店員をしていた 女の人もまた── わたしは 首を振る。 みんなががんばって 活動しているのに わたしだけぼやぼやしてたらダメだ── そう思っても わたしの中のモヤモヤは 消え去らない。 ・蓮 そういやさ 今月の「オカルティック・ムー」読んだ? まどろみ町の特集 めっちゃ大きくなっててさー 笑ったぜ ・ オカルティック・ムー…… 真人の好きな カルチャー雑誌だ。 古今東西の E.B.E.や超常現象などを 取り上げているみたい わたしも以前すこし読ませてもらったけど 本当にやりたい放題やってて シュールな雑誌だった 真人が一番 反応したい話題じゃないかな? 現に一言も話さず パソコンに向かって 議事録をまとめていた真人が ちょっとそわそわしてる ・優 なんだっけ 病院で見たことある おもしろ雑誌だよね ・蓮 そんな感じ! 先月 まどろみ町で見つかった新種のE.B.E.? ……今月号でさらに掘り下げられてて それがおもしろくてさ ・真人 ……………“ミラー・ミラー”? ・蓮 そう! よく覚えてんなー 古荘 ・真人 いや ……たまたまです ・あやめ なんですの その頭痛が痛いみたいなお名前は? ・蓮 赤井沢 意外とキレキレだよな── ・ 某有名高校の学生が遭遇!? 大切な存在に擬態するE.B.E. “ミラー・ミラー” その姿は美しい装飾の施された 姿見だと言われている── 対象にとっての 大事な存在を映し出す さみしがりやな鏡だ その実体を掴みにくいため 遊馬博士も頭を悩ませているとのこと 十五夜商店街での 目撃情報が 比較的多い 近隣の住民は 気をつけるように── ・小百合 (それって わたしがこの間 会った──) ・ ──“お母さん”のこと? ・蓮 まー、なんてか そんな危険なヤツでも無いらしくてさ? 本当に 大切な人の姿 してるだけらしいぜ ・あやめ でも E.B.E.さんであることに 代わりはないでしょう? いずれ自治体に駆除されるんじゃ 無いかしら ・小百合 そ、そんな── ・あやめ ? どうかしましたの 小百合さん? ・小百合 あ、いや あはは……なんでもないよ ・ なんでもなく、なかった。 お母さんと お花屋さん。 わたしの かつての思い出と 同じ場所。 それが E.B.E.の真似事なのだとしても── また 無くなってしまうのは さみしい。 ・真人 …………まあ 結構いい加減な町ですから ここ いるだけのE.B.E.なら スルーするかも ・蓮 あはは そーかも ・小百合 ……畳む ♻️分岐あれこれ 続きを読む・ 今日も無事 打ち合わせが終了した 門限まで時間あるし── どこかに行こうかな……畳む 🪞ミラーミラー編・先生 続きを読む・須賀先生 うーん 困ったなぁ ・小百合 須賀先生……どうしたの? ・須賀先生 ああ 小百合さん! また来てくれたんだね もしかして 前回の診察から なにかあったのかい? ・小百合 えっと── ううん、委員会のお仕事が 始まったくらい 先生やまどかさんに会えないかなと思って 来たんです ──迷惑だった? ・須賀先生 とんでもない 嬉しいよ ・子ども 先生〜 質問にまだ答えてないよ ・子ども 先生の好きなひと くわしくおしえてー ・小百合 困ってることって もしかして…… ・須賀先生 はは 子ども達に捕まってしまってね 元はと言えば 僕が写真を落としたからなんだけど── ・子ども あのね 先生のおよめさん すごくきれいなの ・小百合 およめさん? ・須賀先生 前 小百合さんには話しただろう 恋人だよ 結婚する前に 遠くに行ってしまったんだ ・ うん 聞いたことがある 先生が 心療内科医に 転科した理由 かつて 先生には大切な人がいて── そのひとを うつ病で亡くしてしまったって ・子ども 先生のおよめさん 会ってみたかったなー ・須賀先生 もし 僕もまた マナと会えたら── そう 伝えておくよ ・ そういって 子どもたちとお別れする先生 ・小百合 ……先生はね もし── ──そのマナさんと また会えたら どうする? ・須賀先生 ──難しい質問だね 有り得ないと 答えたいけれど…… ・須賀先生 マナは 人見知りが強い子 だったからね 今の僕の患者さんや、同僚── みんなについてを やさしく紹介したいな ・小百合 ……すてきですね! ・ 勿忘草マナさん。須賀先生の大切な人── 先生から 彼女への愛を 確認するほど わたしはなぜか さみしくなるの ・須賀先生 ありがとう さて 小百合さん やっぱり 何かあったんだろう? 僕でも聞いていいことかい? ・小百合 う…… ・小百合 ……あの 先生── “ミラー・ミラー”って E.B.E.って知ってますか? ・須賀先生 “ミラー・ミラー”……噂では 聞いたことがある なんでも 相手の大事なものに 擬態するんだよね ああ だから小百合さんは あんな質問を── ・小百合 えへへ…… ・須賀先生 ということは 小百合さんも何かを見たのかい? “ミラー・ミラー”の 手によって── ・ (途中で終わってる)畳む 🪞ミラーミラー編の終わりのほう 続きを読む・小百合 ぼくだって── ぼくだってね 本当は ぼくのこと もっと見てほしかった “ぼくだけ”になっても 変わらないでいてほしかった い、茨が いなくなっても── ぼくと一緒に 生きて欲しかったよ ・麗 …… ・小百合 ──でも、あなたは わたしのお母さんじゃない お母さんの姿を真似してる E.B.E.── さみしかったんでしょ 誰かの真似をしたいくらい 今日は 夢見祭 ──誰でも 夢を見られるお祭りだよ わたしたちと 一緒に楽しもう? ね? ・麗 ──いいの? ・小百合 もちろん ・麗 …………。 ──ありがとう── ・ わたしのお母さんだった形が解けて、平坦になって── 彼女は 物言わぬ鏡の姿に戻った畳む 🐰宇宙うさぎ編(冒頭) 続きを読む──最近 よく見る夢がある ちょっといじわるで でもせつないくらい やさしい夢だ ・小百合 茨、いばら! こっちだよー! ・茨 ほんと子どもだな 小百合は。なにそんな焦ってんだよ ・小百合 だって だって── あ、ほら! お花ばたけ! ・茨 ふーん 町ん中にもこんな場所があるんだ ・小百合 すごいでしょ、すごいでしょ! ここでお母さんに 花輪をつくってあげるの ……茨にも 見せたかったんだよ! ・茨 ん…… いきなり 外に連れ出された時は どうしてやろうかと思ったけど ……まあボクも 花は好きだから 許してやるか ・小百合 えっへへー! ・ わたしの大切な 大好きなきみ。 いつもわたしと一緒にいてくれて わたしが楽しい時も辛い時も 共有してくれた。 だから わたしはきみを失ったとき── 半身を失ったような 気がしたの。 ・小百合 ふー。あやめったら こき使うんだからー…… ・ わたしは 実行委員会で 必要な備品の買い出しに出ていた。 こういうのは朧プラザに 大概揃ってる。 ペンとか ボード消しとか マグネットとかがそうだ。 経費は学校が 持ってくれるらしい。 ・小百合 これを明日の放課後に 持っていけばいいんだよね ・ 確認しながら 朧プラザを出ようとした時だった ・女の子 うう…… ・小百合 (え……っと どうしたのかな 迷子──?) ・ インフォメーションセンターの真ん前で 風船を持って泣いてる女の子 なのに 周りの大人は彼女を気にするそぶりを見せない わたしはあんまりそれが気になって 彼女に近づく ・小百合 ……えと……きみ、どうしたの? 大丈夫? ・女の子 ぐすっ ・小百合 わ、わたし 怪しいひとじゃないよ! おせっかいだったら ごめんね ご両親とはぐれちゃったのかな ・女の子 ……ちがう……お兄ちゃん お兄ちゃんと はぐれちゃったの ・小百合 そっか──それはさみしいね わたしでよかったら 探すの手伝おうか? ・女の子 ほんと? わあ よかった! おねえちゃん 一緒にいこ!! ・ 女の子はあっという間に 笑顔になって わたしの手を引いて 走り出す ・小百合 わわ ちょっと……! ・ あはは でも 元気になってよかった お兄ちゃんと離れちゃったなんて── なんだか 他人事じゃない 気がするもの ・ うれしそうに お兄ちゃんの話をする彼女に つられて笑顔になる この子は本当に お兄ちゃんが好きなんだろうな── わたしたちは 町を歩いて…… 気づけば 町外れに出ていて── ・女の子 おねえちゃん やさしいんだね ・ そこは わたしでも知らない森の中だった ・小百合 お兄さんがここにいるの? ……あれ!? ・ 気づけば女の子は どこにもいなくなっていた わたしは焦って 周りを探す ・小百合 いない──! どこに行っちゃったの? それか わたし……夢でも 見てたの!? *** ・巴 不思議なこともあるものですね ・小百合 ほんとだよ──びっくりしちゃった でも が たまたま通りかかってくれて ・アザミ そこってさ……出るとこって有名じゃない? もしかして その子ってさ ・小百合 え…… ・優 はは……考えすぎだよ 朽瀬さん お疲れさま 小百合ちゃん ・小百合 優! 今日は大丈夫だった? 疲れてない? ・優 うん ごめんね 気を遣わせて ・ 優も合流して 夢見祭の打ち合わせはどんどん進んでいた わたしたちは 代わる代わる出席の当番を交代して 実行委員会の仕事を全うしている 今日のお話は ステージの装飾と その予算の振り分けについてだ ・蓮 出るって言やさ…… 今月のオカルティック・ムー 誰か読んでね? ホラースポットの記事 面白かったぜ ・ オカルティック・ムー…… 古今東西のE.B.E.から、オカルトじみた怖い話もまとめた ジョーク雑誌だ 確か 真人が好きな雑誌 日比谷くんも好きなのかな? ・巴 あんまり読まないですね…… 私 怖がりなので……お父さんなら詳しいかも ・蓮 そかー いや 妙にかわいいE.B.E.も載っててさ 徒党を組んで 列をなして 無意識から発生する? とかいう やべーヤツ 確か…… ・真人 …………“宇宙うさぎ”? ・蓮 そう、それ! 古荘 詳しいな! ・真人 妙に可愛い名前だから 印象に残ってただけです ・ 某プラザで出没!? ちいさな生命体「宇宙うさぎ」 イタズラ好きなお調子者たち 人の姿をとることも多いが その正体は 一頭身のうさぎのようなもの! 徒党を組み 列をなし 行動する 家族のような集まりを 形成していることも多いようだ ニンゲンを誘い 導き 迷子にさせる ひとりで泣いてる子どもには 注意が必要── ・小百合 なんか わたしが前会った 女の子と似てるような ・蓮 だろ? だから思い出したんだよー 一花さん “宇宙うさぎ”にイタズラされたのかもな ・アザミ なんだ……幽霊じゃないんか ・ 幽霊だったら めちゃくちゃ困っちゃうよ でも あの子があのとき見せてくれた笑顔は 偽りじゃない気がした 家族のような集まりを 作ることもある── “宇宙うさぎ”は 無意識から形成される なら わたしは ずっと茨のことを──畳む 🐰宇宙うさぎ編の終わりのほう 続きを読む・小百合 ねえ あなたはお兄ちゃんとお祭りを楽しみたくない? ・女の子 うーん…… ……楽しんでいいなら たのしみたい ・小百合 楽しんでいいんだよ! 今日は 誰でも夢を見ていい お祭りなんだよ? きみはずっと悔やんでたよね 自分が代わりに死ねばよかったって 思ってたでしょ でもね 間違ってるんだよ それ 周りのひとみんな、なによりお兄ちゃんが それを望んでない ・女の子 ── ・小百合 わたしたちをからかうのもいいけど もっと家族といられる時間を 大事にしてほしいな── ・女の子 う…… ・女の子 お兄ちゃん お兄ちゃんいた! ・男の子 おまえ 諦めちゃったのか? ニンゲン からかって遊ぶんだろ? ・女の子 んー…… でも 今日はお祭りだって この人から聞いた! い、一緒に遊びたい── お兄ちゃんと一緒に ・男の子 ──ふん じゃあさっさと行くぞ! ・女の子 うん! ・ どうやら ふたりはお祭りを楽しむことに決めたみたい 手を振って 離れていくふたりを見送る E.B.E.でも ニンゲンでも── 今日というお祭りは みんなで楽しんでほしい!畳む 👨⚕️須賀先生ルート、おおまかな展開 続きを読む・ 「超常現象の産地・まどろみ町 複数の発光体を確認!」 ──あれから一週間後。 ・須賀先生 またこういった事柄が まどろみ町のニュースになってしまったね ・小百合 はい……なんかわたし 心配になっちゃって 誰に相談したらいいか わからなくて── ・須賀先生 それで僕を頼ってくれたのか とても嬉しいよ だが──僕もどうしようもないなあ こればっかりは…… ・ 今 まどかさんは休憩中らしくて 須賀先生がひとりで診察をしてくれた。 ──診察という名の お話会なんだけど…… こうやって 不安になると度々わたしは須賀先生のところを訪れていた。 ──外に出るようになって分かったんだけど まどろみ町は本当に 不思議な場所なんだ。 “超常現象の産地”だなんて 言う通りかもしれない。 「月から隕石が堕ちてきてから こういう現象が起こるようになった」と 陣内さんに聞いた。 ・須賀先生 E.B.E.の目撃情報は まだないんだね ・小百合 うん──これも、E.B.E.の仕業かは分かんないって テレビで言ってました ・須賀先生 まあ、そう何体もポンポンと出てこられたら── 研究家が儲かって しかたないだろうなぁ ・小百合 あはは ・須賀先生 まあ、もし現れたとしても──なるようになる そうして僕たちは 生き延びてきたからね ・小百合 はい ・須賀先生 君は君のできることをやればいいんだ、小百合さん 委員会の仕事 明日から始まるんだろう? ・小百合 うん…… ・須賀先生 超常現象は専門家に任せて── 君の力で 夢見祭がよりよいものになるって 僕は信じてるよ ・小百合 ──はい ……須賀先生とお話して、ちょっと落ち着きました! ありがとう! ・須賀先生 どういたしまして。気を付けて帰ってね ・小百合 はい! ・ やさしく笑ってくれる須賀先生に 本当に落ち着いた。 最初は うまく頼れなくてたくさん迷惑をかけたけど── 先生は(勿論、まどかさんも)うんと辛抱強く わたしと向き合ってくれた。 わたしは ちょっとヘタレで、でもやさしい須賀先生が大好きだ。 ・小百合 ……そうだ。須賀先生を 誘いたい── 誘ってもいいですか? ・須賀先生 え? 何の話だい? ・小百合 この間の ダンスイベントのことです! よ、よかったら一緒に── ・看護師 先生、そろそろ…… ・ 看護師さんの声に 現実に引き戻される。 ・須賀先生 ああ、すみません── 小百合さん、大丈夫かい? ・小百合 は、は、はい。また来ます!! ・ いけない、いけない── わたしは患者さん。先生は、先生。 きっと わたしみたいに 先生を慕う患者さんが たくさんいるはずだ。 そしたら先生って 当然人気者なわけで── 病院で子どもたちと遊んでるすがたも 見たことあるし。 ・小百合 ………… ・ 安心しに来たはずの病院で もやもやしてしまった── わたしは首を振って 処方箋を受け取りに行った。 *** ・ それから 委員会の仕事が始まって── 病院に行く回数も 一時的にめっきり減った。 ・白銀 失礼。本日も 高校生連合の会議をはじめようと思う ・シャガ ケッ ・蓮 はーい ステージの建設は 良い感じに進んでるって な 和戸 ・ひまわり ぅ、う うん ・白銀 ああ 宵闇建設の方からもその話は聞いている── 月桂高校の皆で 差し入れに行ってくれたそうだな ありがとう ・蓮 そうそう……! 良い感じのステージになってるから みんな見に来てほしいぜ ・ 月が丘女学院と月桂高校、それから十六夜高校に月並高校── みんなで役割を分担して いろんな所に顔出しをしている。 来週は わたしたち月が丘がステージ建設の当番だ。 ・白銀 こういった場だからこそ 共有しておきたいことがある── 「発光体」の騒動があっただろう、覚えているか? ・あやめ もちのろんですわ! 最近ご無沙汰だった まどろみ町の超常現象! ・シャガ ネットのバカな奴らが 騒いでただけだろ ・あやめ なんですって! あなた 相変わらず一言多いのよ! ・白銀 喧嘩はよそでやってくれ──そう、その話だ。 新たな噂が 月並高校で話題になっている 聞いてくれ ・ 白銀くんの言葉に みんなが自然と耳を貸す。 彼の言葉は凛としていて 耳に届きやすいのだ。 ・白銀 当学校の生徒が 遭遇したらしい ネットでも一部で話題になっている “ミラーミラー”だ 奴はその人物にとって もっとも大切な存在に擬態する 遊馬博士も頭を悩ませている 存在だと聞く 目撃情報は朧プラザ前、──現在建設中のステージ付近だな 来週の担当は 月が丘女学院だろう 気を付けてあたってほしい ・小百合 “ミラーミラー”…… ・あやめ 上等ですわ! どんなウワサも私が 蹴散らして差し上げましてよ ・シャガ ハッ! 喧嘩ひとつしたことねェ オジョウサマが何言ってんだか ・あやめ きぃ~!! ・ “ミラーミラー”、この間 刊行された「オカルティック・ムーン」に書いてあった。 真人が読んでるのを 横から読ませてもらったんだ── 白銀くんの言っていた通り、その人にとって一番大切な存在に 擬態するE.B.E.── 気をつけなきゃ、と わたしは心を強く持った。 *** ・アザミ あ~~~、さぶっ ・巴 素足だからですよ、朽瀬さん…… 見ているこっちも 凍えてしまいます ・アザミ なによ。別にいいでしょ 実際に凍えるのは あたしなんだから ・ 日比谷くんの言う通り ステージの設営は 良い感じに進んでいるみたいだった。 宵闇建設の人たちに差し入れを渡して わたしたちも建設の具合を 確認していた時だった。 ・須賀先生 小百合さん! ・小百合 えっ ……須賀先生! ・小百合 (須賀先生の私服──! はじめて見た……) ・須賀先生 今日は月が丘女学院の子たちが 来てくれるって見たからね ちょっと期待してたんだ 会えてよかったよ ・小百合 須賀先生は どうしてここに? ・須賀先生 はは……前 話したろう? 月並総合病院も 協賛してるって 僕は 医療班的な感じかな 設営を手伝っているんだ ・小百合 そうだったんだ── ・須賀先生 こちらは 小百合さんのお友だちかい? ・アザミ まぁ……朽瀬 アザミです ・巴 須賀先生、ご無沙汰しています ・須賀先生 アザミさんに……巴さんだね 調子はどうですか ・巴 うふふ まあまあです ・アザミ 一花さん、やるぅ……って言いたかったけど 葛籠も知ってるみたいだし なんか有名なひと? ・小百合 あはは 月並病院の先生だよ! ・ そんな世間話をしていると── ・女の人 きゃぁあああ!!! ・小百合 大丈夫ですか!? …………え? 同じ人が ふたり──? ・女の人 気持ち悪い!! あたしの真似しないでよ!! ・須賀先生 大丈夫かい、小百合さん! 落ち着いてください、彼女はきっとE.B.E.── ・ そうすると 姿が揺らいで── ・??? ……先生 ・須賀先生 ! ・??? 先生──先生先生センセイせんせいsensei ・須賀先生 ま、……マナ── ・ 彼女は麗しく微笑み その手を振り上げた。 わたしは慌てて 護身用のナイフを引き抜く。 そうして須賀先生と 彼女の間合いに飛び込んだ。 ・小百合 須賀先生しっかりして! あれはE.B.E.── “ミラーミラー”だよ! ・須賀先生 ……っ すまない── ・??? sensei ・小百合 こっち来ないで! 来たら──刺しちゃうから!! ・??? …… ・ “ミラーミラー”の姿が消え、辺りに静寂が訪れる。 声を聞きつけ いろんな人が集まってきた。 ・アザミ やば……E.B.E.じゃん マジで出たし ・巴 おふたりとも、怪我はありませんか!? ・小百合 うん、……わたしは大丈夫 先生は? ・須賀先生 ……僕もだ すまないね 取り乱して── ・小百合 ううん── ・ 引きこもりを辞めようと思ったきっかけに 須賀先生の話があった。 ・須賀先生 はじめてできた 恋人がね。 ──うつ病になってしまったんだ ・ よく覚えてる。見せてもらった写真も覚えてる。 勿忘草 マナさん──長い髪が印象的な きれいな女の人だった。 ・須賀先生 僕は 彼女を受け入れようとした 理解しようとした だけど 至らなかったんだろうね──彼女は…… ・ あのとき 本当に悲しそうにそう話を切った須賀先生の顔も。 ・須賀先生 僕の話は 置いておいて── ・ 須賀先生は マナさんのことがあって 心療内科医に転向したと話していた。 “ミラーミラー”は その人にとってもっとも大切なひとのふりをする。 だから……須賀先生は── ・須賀先生 小百合さん。……そんな顔しないでおくれ ・ 須賀先生にそう言われて わたしははっと我に返る。 ・須賀先生 君が悲しそうだと 僕も悲しいんだ ・小百合 先生──でも、それはわたしも── ・須賀先生 あれはマナじゃない。わかっているとも 何故なら僕は マッドなお医者さんだからね ・ 困ったようにお茶目に笑う須賀先生に わたしは何も言えなかった。 *** ・桃也 それはアンタ…… アンタが やさしい言葉を かけてあげるべきでしょう ・小百合 う…… ・桃也 先生の事情を 知ってるのはアンタだけなんだから 先生 きっと強がってたはずよ 縋りたかったはずよ ・小百合 わかってるよ わかってるけど…… ・ もう、あめりも英里も 自分の部屋で過ごしている時間。 わたしや真人が 帰ってくるまで ご飯を温めて待ってくれる陣内さんは良い人だ。 だけど いつも正論ばっかりぶつけてくる。 いたたまれなくて わたしはちびちび 肉じゃがをつまんだ。 ・真人 …………ごちそうさまです ・桃也 あら 真人 もういいの? ・真人 はい なんか……食べる気なくなりました ・ うんざりしたように 真人も立ち上がる。うう…… わたし 真人に好かれてる自覚 全然ないから── わたしの話を流し聞きして 頼りないやつだなぁって思ってるんだろうな。 ・真人 ──あんたに 言っておきたいことがあります ・小百合 へ? わたし……? ・真人 ……僕がもし 弟や妹の姿を見たとして。 ・ ……真人の弟妹は 確か── ・真人 そいつが 襲い掛かってきたら そんなの 右近や 左歩じゃないと思います そう ……思いたいです その人の大切なひとなら 尚更そうです あんたがその先生に 伝えるべきなのは そういうことだと思います ……それじゃ ・桃也 んもう、真人──相変わらず 素直じゃないんだから ・ 真人にそう言われて わたしは考えた── ・ ──わたし 須賀先生が好き。 辛いとき いつも力になってくれた あなたが好き。 あなたが 一番大切なひとも きっとそう考えてた。 だから その姿を借りた “鏡”に惑わされちゃダメだよ……! ・須賀先生 ありがとう 小百合さん ・ 須賀先生は やっぱりさみしそうに笑った。 ・須賀先生 マナも、そう思ってくれていたら良いけどね── 共通部分 ・小百合 須賀先生! ・須賀先生 小百合さん。あれからも活動 頑張っていたみたいだね ・小百合 はい──絶対 夢見祭を成功させたいから。それに── “ミラーミラー”のことも。任せてください! マナさんも 須賀先生を大切に思ってるって 証明してみせます! ・須賀先生 小百合さん── ・ 夢見祭は 滞りなく進んだ。 商店街から出張してきたたくさんの出店や たのしい出し物。 学生たちで協力して作り上げた謎のオブジェや 遠くからきてくれたお客様。 もしかしたら ううん もしかしなくても── 超常現象を目当てに 来たひとばかりだとしても。 まどろみ町が すこし不思議で 素敵なところだって教えたくて。 わたしたちは 夢中で奔走した。 ・須賀先生 小百合さん お疲れさま。 無理してないかい……? ・小百合 須賀先生! だいじょうぶです! みんなで手分けして 会場をパトロールしてるの! わたしの担当は 設営ステージだから…… ・須賀先生 待ってくれ 手の甲を擦りむいてる 手当てしよう こっちにおいで ・小百合 う…… ・ ──やっぱりわたし、須賀先生が好き。 一緒にいると落ち着いて やさしい気持ちになれるから。 ・観客 ──出た!! 出たあ!! ・小百合 !! ・須賀先生 まさか── ・ どよめく観客たちを割って 悲鳴のような歓声のような声の場所へ駆け寄る。 そこには、あのときと同じ姿で──“ミラーミラー”が立っていた。 ・須賀先生 マナ…… ・??? せんせい ・ マナさんの姿をして 観客をいじめる“ミラーミラー”。 わたしは彼女の前に飛び込んで 叫んだ。 ・小百合 待って! “ミラーミラー”…… あなたも 本当はさみしいだけなんでしょ なにかを映したくて さみしくて仕方ないだけ わたしたちと一緒に このお祭りを楽しもう? あなたが姿を借りてるマナさんも きっと同じこと考えてる! ・??? ……………… ・須賀先生 マナ──いや、“ミラーミラー”…… 僕も同じ気持ちだ 一緒に楽しく過ごそう 君の気持ちは 僕が受け止めるから ・??? センセイ── うう…… ・ マナさんの姿が 均一になって──すべてを映し出す鏡となった。 ・撫子 ……“ソユーズ”のものです これはE.B.E.なので 運営本部まで責任もって移送させて頂きます 夢見祭が終わる最後まで 本部で面倒を見ます ・小百合 撫子ちゃん! ありがとう── ・撫子 いえ……お仕事ですので ・ 騒動は無事おさまった。 きっと写真を たくさん撮られて SNSには いろんなことが 書かれてるのかもしれない。 でも──須賀先生の顔は晴れやかだった。 ・須賀先生 ありがとう 小百合さん マナにちゃんと伝えたかったこと── すこしでも 届いていると良いのだけど ・小百合 先生──きっと大丈夫です! 安心して── ・アナウンス 最後の演目となりました── 「Shall we dance」参加の皆様は 第一会場までお集まりください ・小百合 あ……! 忘れてた── ・ どうしよう 誰と踊るか結局決めてなかった── このままじゃわたし ひとりで舞台に立つことに── ・須賀先生 僕でも いいのなら ・小百合 へ? ・須賀先生 ──あの時 言ってただろう? 僕なんかでも 本当にいいのなら…… お相手させてくれませんか? ・ す、がせんせ…… ──もちろん!! わたし、わたし…… 先生のこと、だーいすき!!畳む 🏥まどかルート、途中まで 続きを読む・ 「超常現象の産地・まどろみ町 複数の発光体を確認!」 ──あれから一週間後。 ・まどか ふう、疲れた……って 小百合ちゃんじゃない! ・小百合 へへ……探したよ まどかさん ・まどか また診察に来てくれたの? どこか具合悪くなった? ・小百合 ううん そうじゃないの── ・ わたしは 須賀先生の診察を終えて まどかさんを探していた。 まどかさんはちょうど交代の時間だったみたいで 診察室を離れていたみたい。 ──まどかさんは おっちょこちょいで がんばりやなかわいいお姉さんだ。 一生懸命に お話を聞いてくれるのが嬉しくて わたしは まどかさんと個別に お話することも多かった。 先日起こった 不思議な発光体のことを どうしてもまどかさんと話したかった。 わたしは不安になると まどかさんを頼ることが 多くなっていた。 ・まどか そんなことがあったの── ごめんね 最近 あまりSNSは見てなくて ・小百合 ううん! 大したことじゃないんです ただ わたしもそれを目撃して── ・まどか 本当!? 怪我はしてない? E.B.E.には出会わなかった? ・小百合 だいじょうぶです! 発光体は まだE.B.E.の仕業かもわからないって ・まどか それなら 良かったけれど……! ふう 小百合ちゃんのお話は いつもドキドキしちゃうわ まるで美魚の話を 聞いてるみたい ・小百合 美魚……さんって まどかさんの妹さんですよね ・まどか そうよ、末っ子なの 会う度に元気いっぱいで いつも振り回されまくりなんだから ・小百合 あはは ・まどか そういえば 美魚も──この間 不思議な話をしてたわ なんでも ものがよく消えちゃうって ・小百合 ものが? ・まどか そう あたしも最近 身の回りのものを失くしがちなのよね…… 小百合ちゃんも 気を付けてね ・小百合 き、気を付けるって……どうやって? ・まどか え!? そうね……根性よ! 根性で持ってれば なんとかなるわ! ・小百合 アハハ……なんだか まどかさんとお話できて わたしもちょっと 不安だったのが──落ち着いてきました! ありがとう! ・まどか ううん あたしこそ! 休憩中の癒しになったわ あたしのこと 探してくれてありがとうね! ・ かわいらしく笑う姿をみて まどかさんは やっぱりかわいいひとだなぁと思った。 最初のころは わたしがうまく心を開けなくて 大変だったけど── まどかさんは(勿論、先生も)うんと辛抱強く わたしと向き合ってくれた。 わたしは ドジっ子さんだけど でも一生懸命生きているまどかさんが大好きだ。 ・小百合 (まどかさんのこと 誘おうかな──) ・ 誘うとはもちろん、「Shall we dance」のことだ。 たしか 同性同士で出ても 問題なかったはず だけど── ・小百合 (まどかさんに──迷惑 かけちゃうかな) ・まどか 小百合ちゃん? どうしたの? ・小百合 あっ ううん──! なんでもないです! ・まどか そう? そういえば そろそろ委員会のお仕事が 始まるわね 無理しないように ファイトよ小百合ちゃん! あたしも がんばるから! ・小百合 あ── はい! ・ なんだかちょっぴり さみしい気持ちになって── わたしは心のもやもやを 奥底に仕舞いこんだ。 *** ・ それから 委員会の仕事が始まって── 病院に行く回数も 一時的にめっきり減った。 ・白銀 失礼。本日も 高校生連合の会議をはじめようと思う ・シャガ ケッ ・蓮 ういー ステージ建設だけど 問題ないってさ この間見て来たけどいい感じに進んでた な 和戸! ・ひまわり う、うん ・白銀 そうか ありがとう 月が丘の方では 先週“月輪のオブジェ”制作の視察に行ったと聞いた それは どうだった? ・撫子 はい……謎のオブジェが 着々と出来てました ・あやめ 謎だなんて失礼な! 我が社が先導して制作している 月輪のオブジェ! ですわ! ・巴 どういったところが 月輪なんですか? ・あやめ それはもちろん 花で新月を表現している点ですわ! お待ちになって この間 写真を撮りましたの── ・巴 あ、お お構いなく── ・ 月が丘女学院と月桂高校、それから十六夜高校に月並高校── みんなで役割を分担して いろんな所に顔出しをしている。 来週は わたしたち月が丘は 来週オブジェの最終調整に 顔を出すことになっている。 ・白銀 滞りないなら それで結構だ ところで 共有しておきたいことがある 例の「発光体」の件だが── ・蓮 発光体って……こないだ月嶺の方を飛んでた ってヤツ? ・巴 UFOではないか……と噂が立っていましたね 白銀さん それがどうかしたのですか? ・白銀 そう、それだ 新たな噂が 朧プラザの方で立っている──聞いてくれ ・ 白銀くんの言葉に みんなが自然と耳を貸す。 彼の言葉は凛としていて 耳に届きやすいのだ。 ・白銀 朧プラザの SNSに映りこんだとして 話題になっている── “宇宙うさぎ”だ ・シャガ 宇宙うさぎィ? ナメてんのかその名前? ・あやめ あら! かわいいではありませんか 私は好きですわ ・シャガ おまえには 聞いてねえっつーの! ・白銀 話を続けるぞ “宇宙うさぎ”は徒党を組んで ものを盗んでいくうさぎたちだ 一説では自身のさみしさを紛らわすために なんでも持っていくのだとか── 以上は オカルティック・ムーの 受け売りだが…… 注意しておくに 越したことはないだろう オブジェ周りにも 気を配っておくように ・蓮 ……盗られるとしても 花しかない オブジェだと思うけどな…… ・ひまわり う、うん…… ・ “宇宙うさぎ”、聞いたことのないE.B.E.だ。 なんだかかわいくて うさぎ好きなまどかさんを思い出して なごんでしまう。 ううん、気を引き締めないと──相手は地球外生命体だ。 わたしは 気を強く持つのだった。 *** ・あやめ どんどん 大きくなっておりますわ~!! ・蓮 あんまり大きくなっても 扱いに困るんじゃねーか? ・あやめ 度胸とオブジェは 大きい方が良いと聞きますわ どんどん育ちなさいな~!! ・ 花で月を再現したというオブジェ「月輪のオブジェ」は この間 写真で見せてもらった時より どんどん立派になって そこにあった。 それを見上げていると 肩をとんとんと叩かれる。 ・小百合 え? ・まどか 小百合ちゃん! あたしよ ・小百合 まどかさん! どうしてここに? ・まどか うふふ 月並総合病院も協賛してるって言ったじゃない あたしもお手伝いよ ステージ設営を見てたんだけど── 素敵なオブジェがあるって聞いたから 見に来たの! ・あやめ まあ! 光栄ですわ! どんどん見ていってくださいな ・まどか 小百合ちゃんのお友だち? 元気いっぱいね! ・あやめ 月が丘女学院の 赤井沢 あやめと申しますわ! こちらは 月桂高等学校の 日比谷 蓮さんですわ ・蓮 うっす 日比谷っす ・まどか 丁寧にありがとう! 天衣 まどかよ 月並総合病院で 看護師をやってます ・ そんなやり取りをしていると── ・オブジェ設営スタッフ おーい! パレットどこやった? ・オブジェ設営スタッフ え そこにないっすか? ・オブジェ設営スタッフ ないから聞いてるんだよ── リフトもないし これじゃあ 設営が進められないぞ…… ・小百合 なにか 問題が起こってるみたいだね── ・あやめ あ!! あちらを見て……!! ・ そこでは “宇宙うさぎ”たちが── わっせわっせと リフトを運んでいる最中だった。 ・あやめ あれは──件の “宇宙うさぎ”ではなくて!? とっ捕まえにいきますわ! 日比谷さん ついてらっしゃい!! ・蓮 あ、ちょっと! もう とんでもないオジョーサマだな……!! ・ 駆けていくあやめと日比谷くんを わたしも追いかけようとしたのだけど── ・まどか あ……あれ? あれ……? ・小百合 まどかさん! どうしたの── ・まどか 無いの──あたしの指輪 ・小百合 ゆびわ……? ・まどか どこかで 落としちゃったのかな ううん さっきまで持ってたはず── ・ 目に見えておろおろとする まどかさん。 すると あやめと日比谷くんが 息を切らして戻ってくる。 ・あやめ ぜえ はあ…… 奴ら 逃げ足 速すぎですわ!! ・蓮 そりゃそうだろ、相手 E.B.E.だぜ? ・あやめ って お二方とも なにをやってますの? ・小百合 まどかさんの 指輪……を 探してて ・あやめ まさか それも“宇宙うさぎ”に……? くう……やはり意地でも とっ捕まえるべきでしたわ! ・まどか ご ごめんなさい あたしったら こんなとこでもドジして── ・蓮 俺らも 探すの手伝うっすよ ・あやめ そうですわ! 一応 この辺りを見回ってみましょう! ・ ──結局 まどかさんの指輪は 見つけることが できなかったのだけど── わたしは 失くしてしまったという そのものに引っかかっていた。 ・小百合 (指輪── 彼氏さんとかに もらったのかな……) ・ 申し訳なさそうに謝る まどかさんを見て 胸がチリチリと痛くなる。 そうだ、だって まどかさんは年頃のお姉さんだもの。 わたしから見ても かわいいと思うんだから 彼氏さんがいるに決まってる。 なぜか勝手に ひとり身であると信じていた 自分を恥じる。 まどかたちと別れた小百合は ぼんやりと マグノリアに足を踏み入れていた── ・鈴 そんなことがあったの── ・小百合 うん…… ううう わたし 悪い女だよー…… まどかさん あんなに困ってたのに ちゃんと探してあげられなかった ・鈴 ううん 好きなひとの大切なもの 気になっちゃって当然よ ・小百合 だよね── って ええっ!? す、好きなひと!? ・鈴 あら? 好きなひとのお話でしょ? 同性でも異性でも 妬いちゃうのは 関係ないと思うけどな ・小百合 ううう…… ・ミカド 小百合ちゃんも 苦労してんだなぁ…… ・小百合 って ミカド──またおサボりしてるの? ・ミカド 桃也さんには 内緒にしててくれよぅ ・ 鈴が暖かいココアを出してくれる。 ・鈴 そうねえ 小百合── あなたがそのひとと どうなりたいかじゃない? ・小百合 どうなりたいか……? ・鈴 そう! ここまで😭畳む 全部で2万字くらい? 長いしちゃんと整理できてないけどせっかくなので…このころの設定などもどんどん利用していって今の形が固まったのかと新鮮でした! SWDはspring作った後にはもう制作を始めてたはずなので結構昔のことに感じます。忘れてたので発掘出来てよかったです… 2025.07.01 まどろみ町回覧板
2022年のボツシナリオが結構ごっそり出てきたので、全部載せます
ノベルゲームに組み込む前の走り書き
色々あっさりでまとまってない
💫共通ルート(冒頭)
──月並区まどろみ町は、超常現象が起きる不思議な町だ。
かつて月から堕ちて来た“隕石”のせいだと、ひとびとは言う。
でも、本当は違う──月の魔力は、ひとりの少女の夢の世界を選んだのだ。
ただ、それだけのこと。
だけど、今回は夢は関係ない。
これはちょっとした──可能性のお話。
★
・小百合
いってきます!
・
勢いよく玄関の扉を開ける。今日も気持ちのいい朝。
大きく伸びをしていると、後ろからぱたぱたと足音が聞こえる。
・あめり
小百合さん、待って──
・英里
せっかちすぎだよ
・
薄雪 あめりと 緑谷 英里
このふたりは わたしの同居人──
今は“家族”の子どもたちだ。
・小百合
あめり、英里? どうしたの?
・桃也
どうしたのじゃないわよ
アンタ、お弁当忘れて お昼は何食べるつもりだったの
・小百合
え……? ホントだ、忘れてた
・桃也
まったく。挨拶だけは一人前ね
・
ここの家主──陣内 桃也さんがわたしに呆れたようにそう言う。
別にめずらしいことじゃない。わたしはよくものを忘れがちだ。
・小百合
ごめんなさい ありがと陣内さん……
あめりと英里も!
・あめり
う、ううん…… じゃあ、私たち 行くね
・英里
もう わすれものしちゃだめだよ
・
駆けていくふたりに手を振る。
おっと、わたしもぼんやりしてる場合じゃない──
・真人
──ドジ
・桃也
真人ったら、一言多いわねぇ 言わないようにしてたのに
・
陣内さんのお小言もほとほどに わたしは歩き出す。
さっきの──古荘 真人はわたしと同い年。
そうだ ちょうど、わたしの“家族”の顔見せができちゃったね。
孤児院「こよみの園」。
わたしの──もうひとつのお家だ。
***
・
わたしの名前は「一花 小百合」。
月が丘女学院という学校に通う、高校二年生だ。
──わたし、最近まで引きこもってたの。理由は 家族について。
あ、さっきの子たちじゃなくて──本当の 家族のこと。
双子のお兄ちゃんは わたしを庇って事故に遭ってしまった。
わたしのお母さんは それを苦にして遠くに行ってしまった。
全部 わたしが悪いんだ──そう思って 生きる希望を失くしていたの。
でもね 今はとりあえず 持ち直して……
人並みの生活 送れてると思う。
それは、わたしを支えてくれたみんなのおかげで──
わたしは それに応えなきゃいけないって思う。
自分の過去のことばかりじゃない。
いろんな不思議なことが起こる この「まどろみ町」が、わたしは大好き。
***
いつもの道を通って、月が丘女学院に辿り着く。
学校は相変わらず 品の良い空気をまとっている。
・あやめ
ごきげんよう 小百合さん!
・巴
おはようございます
・小百合
あやめ、巴ー。おはよっ
・
おさげの女の子が赤井沢 あやめ、緩やかなロングヘアの女の子が葛籠 巴。
月が丘女学院でできた わたしの大切な友だちだ。
・あやめ
ご存じ? そろそろ“夢見祭”の時期ですわ!
・巴
ああ そうですね! また町がにぎやかになりますね
・小百合
──“夢見祭”?
・あやめ
そうですわ!
去年から我が「まどろみ町」の恒例行事になったじゃない
私のお家も協賛ですからね 今年も 盛り上げますわよ~
・巴
あやめちゃん 小百合ちゃんはすこしお休みしてらしたから……
もしかしたら ご存じないのかも
・
巴の言うとおりだ。はじめて聞いた……
えへへ──さっき まどろみ町が大好きだって話をしたのに
説得力 なくなっちゃったね
・巴
“夢見祭”。まどろみ町の住民総出で行う お祭りですよ
自治体が主導で行っていますから 月並区の町おこしの一環でしょうか
去年の夢見祭が 好評で──恒例行事になったそうですよ
うふふ 私のお父さんもスポンサーなんです
・小百合
へええ…… つまり、町全体でやるイベントってこと?
・あやめ
そのとおりですわ! そして今年も前年に倣って
実行委員のメンバーを選抜するのですわ
我らが月が丘は 月桂高等学校と提携予定よ
いろいろな企業や団体も バックアップしてくれますわ
・小百合
すごいね ホントに大きなお祭りだ
・
なぜか自分が得意げなあやめに 頷く巴。
ちいさい頃 お祭りには行ったことあるけど
それは近所の神社でやってた ちいさいものだった。
今回の“夢見祭”は お祭りっていうより 大きなイベントみたいだ。
・アザミ
ふわあ……朝から元気ねえ 赤井沢さん
・あやめ
あら 朽瀬さん ごきげんよう!
・巴
おはようございます
・
ひょっこり現れたのは 朽瀬 アザミ──
この子も わたしの友だちだ。
・アザミ
ン。噂だけどさ……
赤井沢さんが 委員会に立候補決めてるって聞いたんだけど
葛籠や一花さんも一緒に
・小百合
ええっ!?
・巴
まあ…… あやめちゃん 本当ですか?
・あやめ
もう話が出回っているの? ですがご名答!
私、小百合さん、巴さん──
それから朽瀬さん 霧江さんもメンバーに加えておりますわ
今日 先生から 正式にお話がある予定でしたのよ
・
わたしにとっては寝耳に水だ。
今日はじめて存在を知った イベントの実行委員になってしまった!
・巴
杏子ちゃんと一緒──ですか
・
なんだか恍惚とした感じの 巴は置いておいて──
わたしもびっくりしたけど 悪い気はしない。
さっきのお話を聞いただけで ワクワクする要素がてんこ盛りだ!
大好きな まどろみ町の 役に立てるなら悪くない──
・小百合
うん やろうよ! わたし 燃えてきたよ!
・アザミ
マジ? かったるいの嫌なんだけど……
その感じだと 拒否権はなさそーね
・あやめ
当然ですわ! 皆で月が丘の代表として
夢見祭を盛り上げて参りましょう!
・みんな
おー!!
***
・藤
さて 来週からわが校──
ひいてはまどろみ町は “夢見祭”の準備に入ります
ご存じですね まどろみ町全体でやる大規模イベントのことです
出店等は勿論 舞台や演劇なども予定されています
わが校からも 実行委員を出すようになっていますが
赤井沢さんの提案により 大体のメンバーは決まっておりますよ
人数が多いに 越したことはないので
他にも立候補される方がおりましたら 教えてください
・
藤先生の言葉に クラスメイト達がざわつく。
どうする? 出る? とか聞こえて みんなウキウキした様子が伝わる。
噂通りのイベントであるのは 間違いなさそうだ。
・あやめ
これもご存じ?
今回の締めの演目も ダンスらしいですわ──
・小百合
ダンス?
・巴
「Shall we dance」ですね 参加型イベントなのですが……
ふたり一組で踊るんです
ほら 修学旅行の最後にやった キャンプファイヤーみたいな
・小百合
へえ~ いいね たのしそう
・あやめ
んもう 小百合さんったら
このイベントの真骨頂は そこではありませんわ
・小百合
え……?
***
・鈴
いらっしゃーい お好きな席に──
って 小百合じゃない
・小百合
鈴ー! 聞いて聞いて
わたし “夢見祭”の月が丘代表実行委員になったの!
・ミカド
小百合ちゃんが? びっくりだなぁ
・小百合
え──ミカド またサボり?
ダメだよ わたしたちの面倒見てくれなきゃ 陣内さん怒っちゃう
・ミカド
たまにはいいだろぉ……桃也さん すぐ正論言ってくるから
おれの心も 休憩が必要なんだよぉ
・鈴
夢見祭! うちのお店も 出店を出すのよ~
そっか 小百合が実行委員なら 色々情報聞けちゃうわね
・
木蓮 鈴さんと白梅 ミカドさんも わたしの知り合い。
鈴はここ「マグノリア」の看板娘で ミカドは──
鈴に恋する こよみのスタッフさんってところ。
・ミカド
あー 鈴ちゃん アイスティー無くなっちゃったぁ……
・鈴
おかしいわねぇ アルコール入ってないんだけど……
ミカドくん 酔ってる?
・小百合
鈴~ 続き聞いてよ
夢見祭 最後にダンス やるんだって
「Shall we dance」だよ 知ってる?
・鈴
ああ! 知ってるわ!
確かふたり一組で 舞台の上で踊るのよね!
去年も演って 話題になったやつ──
そこで踊った組み合わせが 結ばれまくったってやつ!
・ミカド
えっ……
・小百合
そ、そう! すごくない? 噂になっちゃうくらいだよ!
それってさ つまり──
・
……わたしも 誰かと踊ったら──
・鈴
なぁにぃ小百合 誰か誘いたいひとがいるの?
・小百合
ち 違うよ~! でも 委員会だから……
出なくちゃいけないんだよ
誰かひとり 誘うひと決めなくちゃ──
・ミカド
そ それっておれでも出られる?
・小百合
え? 当たり前だよ! 一般参加大歓迎だって
・ミカド
そ そかぁ……そか……
・鈴
小百合~ 誰を狙ってるの? 教えてよ!
私 めいっぱい応援しちゃう!
・小百合
へへ……鈴って言ったらどうする?
・鈴
そうねぇ……ダンスの練習をしておくわ!
・
なんて 今日も一日が終わった。
自分だけの世界に いた時とは違う──ままならない感覚。
だけど それが心地よく感じられてきたころだ。
ベットにもぐりこみながら わたしはどきどきした気持ちを抑えられずにいた。
──誰、さそおっかな?
***
・
月並総合病院 まどろみ町で一番大きな病院だ。
わたしはここの心療内科に 一年前から お世話になっている。
──家族を失ったばかりのわたしは あまりにもおかしかったからだ。
いまは 経過観察というかたちで 通院を続けている。
・看護師
一花さん 1番の診察室へどうぞ
・須賀先生
小百合さん! こんにちは。調子はどうですか?
・小百合
先生、まどかさん こんにちは
・まどか
ええ こんにちは!
須賀 宗一先生と 看護師の天衣 まどかさん。
一年前からずっと わたしを診てくれるふたりだ。
わたしはふたりとの時間に いつも安らぎを感じている。
いろんな話をして──泣いたりしたこともあって──
もしかしたら 陣内さんたちより 心をさらけ出している相手かも。
・小百合
あのね──今度 夢見祭があること 知ってますか?
わたし、友だちとその実行委員になったの。高校生代表で
・須賀先生
確か……去年から始まった 催しだね。
いやはや とても賑やかなイベントだったのを覚えてるよ
・まどか
実行委員だなんて すごいわ小百合ちゃん!
・小百合
へへ──友だちが勝手に 決めたようなものだけど。
それが一番大きな変化だったかな? あとは 変わらずです
・須賀先生
そうか 君が少しずつ
前に進んでいる姿を見ていると 本当に嬉しくなるよ
入眠についても 変わりないかい?
・小百合
はい──わくわくして 眠れない感じです!
・須賀先生
それはよかった。じゃあ 薬は変わらず処方しておこう
──月並総合病院もね 協賛しているんだよ 夢見祭
・小百合
えっ! 本当?
・まどか
そうなの。きっと あたしたちもお手伝いに行くわ
だから そういう相談も気兼ねなく、ね!
・
心強い味方を経て、わたしは病室を後にする。
なら、先生やまどかさんも ダンスのお相手の選択肢に入れていいかな──?
なんて思いながら 処方箋を受け取り そのまま
併設された薬局に向かう前に 面会の手続きをした。
・小百合
こんにちは
・優
小百合ちゃん!
・京介
小百合 見舞いに来てくれたのか
・
ちょうどいいタイミング!
幼なじみの咲良 優は 昔から心臓の病気を患ってて──
長いこと入院してる。「小百合ちゃんの先輩だね」って 笑ってた。
そして、咲良 京介さんは優のお兄さんだ。
やさしくて カッコよくて──わたしのあこがれのひとなの!
・小百合
えへへ 聞いてふたりとも──
わたし 夢見祭の実行委員になったの!
・優
ゆめみ……?
・京介
去年話しただろ まどろみ町でやってるデカいイベントだ
町全体でやる 祭りだな
・優
兄さんが 残業で行けなかったって嘆いてたやつ?
……すごいよ、小百合ちゃん! 立候補したの?
・
チラッと見えた 京介さんの残業事情にドキっとする。
心なしか 京介さんの背中に哀愁が見える──
・小百合
ううん、あやめが勝手に……でも わくわくしてるんだ
優 最近調子はどう? 来れたり──しない?
・優
うん──来週から 一時退院の予定だから……
もしかしたら 行けるかも かな
・小百合
ほんと?
・京介
まあ 立ってないで座れ ここ
・小百合
ありがと 京介さん!
……それでね、わたし 「Shall we dance」に出なきゃで……
あ、ダンスのイベントだよ! 締めにやる演目なんだ
それにはね 相手が必要で
・優
うん
・小百合
……誰 誘おうか迷ってるから そのときはよろしくね!
・
そう言うと 京介さんも優も笑ってくれた。
・
さあ これからきっと 忙しくなるぞ。
去年開催されたってときは わたしも自分の世界に閉じこもってて──
いけなかったお祭り。夢見祭!
孤児院のみんなにも 改めてお話しないと!畳む
💫共通ルート(一回目の事件後)
・ニュースキャスター
続いてのニュースです
まどろみ町では 着々と“夢見祭”の準備が 進められています
各地の状況を 見てみましょう
・桃也
のんきなもんよねぇ この町
・小百合
え? どうして?
・桃也
だってそうじゃない
E.B.E.の問題 一個も解決してないのに
町はもう お祭りムードよ
・真人
局所的に起こる 奇妙な“超常現象”止まりです──
誰も死んでないし まあいいんじゃないですか
・
E.B.E.(地球外生命体)──
まどろみ町に現れるようになった 不思議な生き物の総称。
彼らが起こす出来事は “超常現象”なんて表現されたりして。
まどろみ町は本当に 不思議な場所なんだ。
いまでは“超常現象の産地”なんていわれてる。
「月から隕石が堕ちてきてから こういう現象が起こるようになった」と テレビでやっていた。
・
例えば 「ファフロツキーズ」──空からたくさん 焼く前のお餅が 降ってきたり。
「ポルターガイスト」──動くはずの無いおおきなものが 勝手に動いたり。
物が消えてしまったり 不思議な発光体が空を 飛んで回ってたり エトセトラ。
まるで わたしが子どもの頃 描いていた絵空事のような事件ばかりだ。
だけど 桃也さんの言う通り 大抵の住民がのんきにすごしている。
町おこしの一環になるなんて 張り切ってる団体もいるみたい。
・桃也
そーいや 小百合 何か報告があるんでしょう?
・
みんなの視線が一斉に わたしに集まる。
うう、このタイミングで言うの なんだか気まずい……
・小百合
えーと……その 例のお祭りの 実行委員になりまして
・桃也
“夢見祭”の? すごいじゃない
・英里
ぼくとあめり姉ちゃんも 一緒に回る予定だった──
がんばってね 小百合ねーちゃん “ちょうじょうげんしょう” やっつけて
・小百合
あはは── ありがとう
・
やっつけろ なんて言われてもなぁ。
一応 E.B.E.って 住民独自で対策していいように 言われてるんだ
わたしも一回 護身用にもらったナイフで 追い払ったことがあるの
そういう意味では 結構物騒な町なんだけど──
「政府が対応してくれない以上 我々で何とかするべきだ」
って 巴のお父さんが 演説してたりしたし
みんなそれぞれ E.B.E.との距離感を悩んでいるみたい
・あめり
……大丈夫 成功するわ 私 わかるの
・桃也
あめりの予知は よく当たるからね
怪我しない程度に がんばりなさい
・
よかった 意外とみんな肯定的──
こよみのみんなは冷めてて わたしだけ お祭りにはしゃいでるのかと 思ってた
・真人
……でも 最近 新種のE.B.E.も出てきてるとか
“オカルティック・ムー”の 受け売りですけど
・小百合
ひえ……
・
──次の日。
無事 あやめの立候補により 実行委員に 当選したわたしたちは
月桂高等学校との 合同の会議に出席していた
・真人
……
・小百合
あ! 真人…… え 真人も委員会だったの?
教えてくれたらよかったのに!
・真人
……どうせこうなるから 言わなくてもいいかと思ったんです
・蓮
俺が誘ったんだよー 一花さんの友だちって聞いたから
・小百合
日比谷くん! それに和戸さんも
・ひまわり
こ、こん、にちは
・
ふいっと目をそらす 真人の後ろから
日比谷 蓮くんと和戸 ひまわりさんが出てくる。
ふたりとも 優の友だちで──わたしは 顔見知りくらいの関係だ。
・蓮
だから 咲良も誘おうと思ってさ
あいつ 来週から一時退院なんだろ?
・小百合
優? そうだね
……大丈夫かな 疲れないかなぁ?
・蓮
俺と和戸で バックアップするって! な 和戸
・ひまわり
う、ぅん
・小百合
え──彼岸も委員会? なんだか 意外……
・彼岸
ぼ、ぼくも 日比谷クンに誘われただけ
きみがいるって知ってるなら こ、来なかった……
・
この子は 八乙女 彼岸──
わたしたちの かつての幼なじみだ。
・杏子
なんだか 一花さんの知り合いばかりみたいね
・
くすり と笑うのが霧江 杏子さん。
月が丘の生徒で── 巴とアザミの親友さんだ
・小百合
えへへ そうみたい
これはますます やる気になっちゃうね
・蓮
おう “夢見祭高校生実行委員会”だっけ?
俺たちが「Shall we dance」……の運営も やるわけだし
たのしくやってこうぜ よろしく!畳む
🪞ミラーミラー編(冒頭)
──最近 よく見る夢がある
やさしくて暖かくて 目覚めたくなくなる夢だ
・麗
小百合ちゃん 茨くんと今日は何したの?
・小百合
えへへ 公園で遊んで──
お花摘んだりしたの! これ お母さんにあげる!
・麗
まあ かわいい花輪!
ママのために 作ってくれたの?
・小百合
そうだよ!
でも ぼくだけじゃ うまくできなくて
茨も てつだってくれたの!
・麗
小百合ちゃんも 茨くんも──
本当にありがとうね ふたりとも 私の宝物だわ
・
わたしの家だった お花屋さん
名前は「Floweret」 ちいさいけど賑わってたお店
お父さんとお母さんが 一生懸命切り盛りしてたの
でも あの日からすべてが変わった──
・小百合
ふう! 買い出しはこれで全部かな?
・
今日は日曜日──
わたしは陣内さんに頼まれて 孤児院の 食材の買い出しに出ていた
・小百合
ねぎと 豆腐と 牛乳と 卵と──
・
何度も指折り数えながら 帰路へ着く。
十五夜商店街は こういう時にしか来ないからな
いろいろ見て帰ろうかな なんて考えてた
・小百合
(あれ── 花屋? あんなところにあったかな?
新しく出来たのかも……ちょっと見てみよ)
・
わたしは花が大好きだ。
それは わたしのお家がお花屋さんだったから──
というのも もちろんある。
でも一番の理由は お母さんが花が大好きだったからだ。
・小百合
わあ きれいなポインセチア──
・麗
うふふ きれいでしょ?
・小百合
──え
・
しばらく 思考が停止する
わたしは 自分の目の前にいる人を 認知できないでいる
・麗
夫とふたりで 育ててるんですよ
・
嘘だ そんなはずない だってあなたは──
・麗
あら あなたなんだか うちの娘に似てる──
急にごめんなさい なんだか娘が大きくなったみたいで 感慨深かったの
・小百合
…………あ
・麗
そんなに迷惑なこと 言っちゃった?
待ってね 汚れてないハンカチが ここに──
・小百合
おか、あさん
・麗
?
・
……ううん そんなはずがない
わたしのお母さんは── あの日──
・小百合
す ……すみません 突然
・麗
いいえ 本当に大丈夫?
そうだ ミニブーケをあげますね お花を見て 元気を出してちょうだい
・小百合
あ いや ほ、本当に 気にしないで──
・
……結局 かわいくて華やかなミニブーケを 受け取ってしまった
わたしは なんだか後ろ髪を引かれる思いで 振り返る
笑顔で 女性が 手を振っている
──────
***
・あやめ
……ゆりさん? 小百合さん!
・小百合
え?
・あやめ
んもう 今週になってからいつもこの調子ですわ
「Shall we dance」の成功は 私たちにかかっているのよ
しっかり頑張って頂かないと 困りますわ!
・優
まあまあ 赤井沢さん──
小百合ちゃん 大丈夫? 具合悪い?
・小百合
あ いや ううん……大丈夫だよ ごめんね
・蓮
マジ? 無理すんなよな
今日の打ち合わせは ほぼほぼ終わったようなもんだしさ
・小百合
ほんと? え えと……なんの話だったっけ?
・優
僕の顔見せと 予算の割り振りだよ
もうちょっと ステージを華やかにしようって 話になったんだ
・
あやめの言う通り あの日からわたしは活動に身が入らずにいる
あそこにあった花屋さんは わたしの記憶の中のものと 完全に一致していたからだ
そして 店員をしていた 女の人もまた──
わたしは 首を振る。
みんなががんばって 活動しているのに わたしだけぼやぼやしてたらダメだ──
そう思っても わたしの中のモヤモヤは 消え去らない。
・蓮
そういやさ
今月の「オカルティック・ムー」読んだ?
まどろみ町の特集 めっちゃ大きくなっててさー 笑ったぜ
・
オカルティック・ムー……
真人の好きな カルチャー雑誌だ。
古今東西の E.B.E.や超常現象などを 取り上げているみたい
わたしも以前すこし読ませてもらったけど
本当にやりたい放題やってて シュールな雑誌だった
真人が一番 反応したい話題じゃないかな?
現に一言も話さず パソコンに向かって
議事録をまとめていた真人が ちょっとそわそわしてる
・優
なんだっけ 病院で見たことある
おもしろ雑誌だよね
・蓮
そんな感じ! 先月 まどろみ町で見つかった新種のE.B.E.?
……今月号でさらに掘り下げられてて それがおもしろくてさ
・真人
……………“ミラー・ミラー”?
・蓮
そう! よく覚えてんなー 古荘
・真人
いや ……たまたまです
・あやめ
なんですの その頭痛が痛いみたいなお名前は?
・蓮
赤井沢 意外とキレキレだよな──
・
某有名高校の学生が遭遇!?
大切な存在に擬態するE.B.E. “ミラー・ミラー”
その姿は美しい装飾の施された 姿見だと言われている──
対象にとっての 大事な存在を映し出す さみしがりやな鏡だ
その実体を掴みにくいため 遊馬博士も頭を悩ませているとのこと
十五夜商店街での 目撃情報が 比較的多い
近隣の住民は 気をつけるように──
・小百合
(それって わたしがこの間 会った──)
・
──“お母さん”のこと?
・蓮
まー、なんてか そんな危険なヤツでも無いらしくてさ?
本当に 大切な人の姿 してるだけらしいぜ
・あやめ
でも E.B.E.さんであることに 代わりはないでしょう?
いずれ自治体に駆除されるんじゃ 無いかしら
・小百合
そ、そんな──
・あやめ
? どうかしましたの 小百合さん?
・小百合
あ、いや あはは……なんでもないよ
・
なんでもなく、なかった。
お母さんと お花屋さん。
わたしの かつての思い出と 同じ場所。
それが E.B.E.の真似事なのだとしても──
また 無くなってしまうのは さみしい。
・真人
…………まあ 結構いい加減な町ですから ここ
いるだけのE.B.E.なら スルーするかも
・蓮
あはは そーかも
・小百合
……畳む
♻️分岐あれこれ
・
今日も無事 打ち合わせが終了した
門限まで時間あるし── どこかに行こうかな……畳む
🪞ミラーミラー編・先生
・須賀先生
うーん 困ったなぁ
・小百合
須賀先生……どうしたの?
・須賀先生
ああ 小百合さん! また来てくれたんだね
もしかして 前回の診察から なにかあったのかい?
・小百合
えっと──
ううん、委員会のお仕事が 始まったくらい
先生やまどかさんに会えないかなと思って 来たんです
──迷惑だった?
・須賀先生
とんでもない 嬉しいよ
・子ども
先生〜 質問にまだ答えてないよ
・子ども
先生の好きなひと くわしくおしえてー
・小百合
困ってることって もしかして……
・須賀先生
はは 子ども達に捕まってしまってね
元はと言えば 僕が写真を落としたからなんだけど──
・子ども
あのね 先生のおよめさん すごくきれいなの
・小百合
およめさん?
・須賀先生
前 小百合さんには話しただろう 恋人だよ
結婚する前に 遠くに行ってしまったんだ
・
うん 聞いたことがある
先生が 心療内科医に 転科した理由
かつて 先生には大切な人がいて──
そのひとを うつ病で亡くしてしまったって
・子ども
先生のおよめさん 会ってみたかったなー
・須賀先生
もし 僕もまた マナと会えたら──
そう 伝えておくよ
・
そういって 子どもたちとお別れする先生
・小百合
……先生はね もし──
──そのマナさんと また会えたら どうする?
・須賀先生
──難しい質問だね
有り得ないと 答えたいけれど……
・須賀先生
マナは 人見知りが強い子 だったからね
今の僕の患者さんや、同僚──
みんなについてを やさしく紹介したいな
・小百合
……すてきですね!
・
勿忘草マナさん。須賀先生の大切な人──
先生から 彼女への愛を 確認するほど
わたしはなぜか さみしくなるの
・須賀先生
ありがとう
さて 小百合さん やっぱり 何かあったんだろう?
僕でも聞いていいことかい?
・小百合
う……
・小百合
……あの 先生──
“ミラー・ミラー”って
E.B.E.って知ってますか?
・須賀先生
“ミラー・ミラー”……噂では 聞いたことがある
なんでも 相手の大事なものに 擬態するんだよね
ああ だから小百合さんは あんな質問を──
・小百合
えへへ……
・須賀先生
ということは 小百合さんも何かを見たのかい?
“ミラー・ミラー”の 手によって──
・
(途中で終わってる)畳む
🪞ミラーミラー編の終わりのほう
・小百合
ぼくだって── ぼくだってね
本当は ぼくのこと もっと見てほしかった
“ぼくだけ”になっても 変わらないでいてほしかった
い、茨が いなくなっても── ぼくと一緒に 生きて欲しかったよ
・麗
……
・小百合
──でも、あなたは わたしのお母さんじゃない
お母さんの姿を真似してる E.B.E.──
さみしかったんでしょ 誰かの真似をしたいくらい
今日は 夢見祭 ──誰でも 夢を見られるお祭りだよ
わたしたちと 一緒に楽しもう? ね?
・麗
──いいの?
・小百合
もちろん
・麗
…………。
──ありがとう──
・
わたしのお母さんだった形が解けて、平坦になって──
彼女は 物言わぬ鏡の姿に戻った畳む
🐰宇宙うさぎ編(冒頭)
──最近 よく見る夢がある
ちょっといじわるで でもせつないくらい やさしい夢だ
・小百合
茨、いばら! こっちだよー!
・茨
ほんと子どもだな 小百合は。なにそんな焦ってんだよ
・小百合
だって だって──
あ、ほら! お花ばたけ!
・茨
ふーん 町ん中にもこんな場所があるんだ
・小百合
すごいでしょ、すごいでしょ!
ここでお母さんに 花輪をつくってあげるの
……茨にも 見せたかったんだよ!
・茨
ん……
いきなり 外に連れ出された時は どうしてやろうかと思ったけど
……まあボクも 花は好きだから 許してやるか
・小百合
えっへへー!
・
わたしの大切な 大好きなきみ。
いつもわたしと一緒にいてくれて わたしが楽しい時も辛い時も 共有してくれた。
だから わたしはきみを失ったとき──
半身を失ったような 気がしたの。
・小百合
ふー。あやめったら こき使うんだからー……
・
わたしは 実行委員会で 必要な備品の買い出しに出ていた。
こういうのは朧プラザに 大概揃ってる。
ペンとか ボード消しとか マグネットとかがそうだ。
経費は学校が 持ってくれるらしい。
・小百合
これを明日の放課後に 持っていけばいいんだよね
・
確認しながら 朧プラザを出ようとした時だった
・女の子
うう……
・小百合
(え……っと どうしたのかな
迷子──?)
・
インフォメーションセンターの真ん前で 風船を持って泣いてる女の子
なのに 周りの大人は彼女を気にするそぶりを見せない
わたしはあんまりそれが気になって 彼女に近づく
・小百合
……えと……きみ、どうしたの? 大丈夫?
・女の子
ぐすっ
・小百合
わ、わたし 怪しいひとじゃないよ!
おせっかいだったら ごめんね
ご両親とはぐれちゃったのかな
・女の子
……ちがう……お兄ちゃん
お兄ちゃんと はぐれちゃったの
・小百合
そっか──それはさみしいね
わたしでよかったら 探すの手伝おうか?
・女の子
ほんと? わあ よかった!
おねえちゃん 一緒にいこ!!
・
女の子はあっという間に 笑顔になって
わたしの手を引いて 走り出す
・小百合
わわ ちょっと……!
・
あはは でも 元気になってよかった
お兄ちゃんと離れちゃったなんて──
なんだか 他人事じゃない 気がするもの
・
うれしそうに お兄ちゃんの話をする彼女に つられて笑顔になる
この子は本当に お兄ちゃんが好きなんだろうな──
わたしたちは 町を歩いて……
気づけば 町外れに出ていて──
・女の子
おねえちゃん やさしいんだね
・
そこは わたしでも知らない森の中だった
・小百合
お兄さんがここにいるの? ……あれ!?
・
気づけば女の子は どこにもいなくなっていた
わたしは焦って 周りを探す
・小百合
いない──! どこに行っちゃったの?
それか わたし……夢でも 見てたの!?
***
・巴
不思議なこともあるものですね
・小百合
ほんとだよ──びっくりしちゃった
でも が たまたま通りかかってくれて
・アザミ
そこってさ……出るとこって有名じゃない?
もしかして その子ってさ
・小百合
え……
・優
はは……考えすぎだよ 朽瀬さん
お疲れさま 小百合ちゃん
・小百合
優! 今日は大丈夫だった? 疲れてない?
・優
うん ごめんね 気を遣わせて
・
優も合流して 夢見祭の打ち合わせはどんどん進んでいた
わたしたちは 代わる代わる出席の当番を交代して 実行委員会の仕事を全うしている
今日のお話は ステージの装飾と その予算の振り分けについてだ
・蓮
出るって言やさ……
今月のオカルティック・ムー 誰か読んでね?
ホラースポットの記事 面白かったぜ
・
オカルティック・ムー……
古今東西のE.B.E.から、オカルトじみた怖い話もまとめた ジョーク雑誌だ
確か 真人が好きな雑誌 日比谷くんも好きなのかな?
・巴
あんまり読まないですね……
私 怖がりなので……お父さんなら詳しいかも
・蓮
そかー いや 妙にかわいいE.B.E.も載っててさ
徒党を組んで 列をなして 無意識から発生する? とかいう やべーヤツ 確か……
・真人
…………“宇宙うさぎ”?
・蓮
そう、それ! 古荘 詳しいな!
・真人
妙に可愛い名前だから 印象に残ってただけです
・
某プラザで出没!? ちいさな生命体「宇宙うさぎ」
イタズラ好きなお調子者たち 人の姿をとることも多いが
その正体は 一頭身のうさぎのようなもの!
徒党を組み 列をなし 行動する
家族のような集まりを 形成していることも多いようだ
ニンゲンを誘い 導き 迷子にさせる
ひとりで泣いてる子どもには 注意が必要──
・小百合
なんか わたしが前会った 女の子と似てるような
・蓮
だろ? だから思い出したんだよー
一花さん “宇宙うさぎ”にイタズラされたのかもな
・アザミ
なんだ……幽霊じゃないんか
・
幽霊だったら めちゃくちゃ困っちゃうよ
でも あの子があのとき見せてくれた笑顔は 偽りじゃない気がした
家族のような集まりを 作ることもある──
“宇宙うさぎ”は 無意識から形成される
なら わたしは ずっと茨のことを──畳む
🐰宇宙うさぎ編の終わりのほう
・小百合
ねえ あなたはお兄ちゃんとお祭りを楽しみたくない?
・女の子
うーん……
……楽しんでいいなら たのしみたい
・小百合
楽しんでいいんだよ!
今日は 誰でも夢を見ていい お祭りなんだよ?
きみはずっと悔やんでたよね 自分が代わりに死ねばよかったって 思ってたでしょ
でもね 間違ってるんだよ それ
周りのひとみんな、なによりお兄ちゃんが それを望んでない
・女の子
──
・小百合
わたしたちをからかうのもいいけど もっと家族といられる時間を 大事にしてほしいな──
・女の子
う……
・女の子
お兄ちゃん お兄ちゃんいた!
・男の子
おまえ 諦めちゃったのか?
ニンゲン からかって遊ぶんだろ?
・女の子
んー……
でも 今日はお祭りだって この人から聞いた!
い、一緒に遊びたい── お兄ちゃんと一緒に
・男の子
──ふん じゃあさっさと行くぞ!
・女の子
うん!
・
どうやら ふたりはお祭りを楽しむことに決めたみたい
手を振って 離れていくふたりを見送る
E.B.E.でも ニンゲンでも──
今日というお祭りは みんなで楽しんでほしい!畳む
👨⚕️須賀先生ルート、おおまかな展開
・
「超常現象の産地・まどろみ町 複数の発光体を確認!」
──あれから一週間後。
・須賀先生
またこういった事柄が まどろみ町のニュースになってしまったね
・小百合
はい……なんかわたし 心配になっちゃって
誰に相談したらいいか わからなくて──
・須賀先生
それで僕を頼ってくれたのか とても嬉しいよ
だが──僕もどうしようもないなあ こればっかりは……
・
今 まどかさんは休憩中らしくて 須賀先生がひとりで診察をしてくれた。
──診察という名の お話会なんだけど……
こうやって 不安になると度々わたしは須賀先生のところを訪れていた。
──外に出るようになって分かったんだけど まどろみ町は本当に 不思議な場所なんだ。
“超常現象の産地”だなんて 言う通りかもしれない。
「月から隕石が堕ちてきてから こういう現象が起こるようになった」と 陣内さんに聞いた。
・須賀先生
E.B.E.の目撃情報は まだないんだね
・小百合
うん──これも、E.B.E.の仕業かは分かんないって テレビで言ってました
・須賀先生
まあ、そう何体もポンポンと出てこられたら──
研究家が儲かって しかたないだろうなぁ
・小百合
あはは
・須賀先生
まあ、もし現れたとしても──なるようになる
そうして僕たちは 生き延びてきたからね
・小百合
はい
・須賀先生
君は君のできることをやればいいんだ、小百合さん
委員会の仕事 明日から始まるんだろう?
・小百合
うん……
・須賀先生
超常現象は専門家に任せて──
君の力で 夢見祭がよりよいものになるって 僕は信じてるよ
・小百合
──はい
……須賀先生とお話して、ちょっと落ち着きました!
ありがとう!
・須賀先生
どういたしまして。気を付けて帰ってね
・小百合
はい!
・
やさしく笑ってくれる須賀先生に 本当に落ち着いた。
最初は うまく頼れなくてたくさん迷惑をかけたけど──
先生は(勿論、まどかさんも)うんと辛抱強く わたしと向き合ってくれた。
わたしは ちょっとヘタレで、でもやさしい須賀先生が大好きだ。
・小百合
……そうだ。須賀先生を 誘いたい──
誘ってもいいですか?
・須賀先生
え? 何の話だい?
・小百合
この間の ダンスイベントのことです!
よ、よかったら一緒に──
・看護師
先生、そろそろ……
・
看護師さんの声に 現実に引き戻される。
・須賀先生
ああ、すみません──
小百合さん、大丈夫かい?
・小百合
は、は、はい。また来ます!!
・
いけない、いけない──
わたしは患者さん。先生は、先生。
きっと わたしみたいに 先生を慕う患者さんが たくさんいるはずだ。
そしたら先生って 当然人気者なわけで──
病院で子どもたちと遊んでるすがたも 見たことあるし。
・小百合
…………
・
安心しに来たはずの病院で もやもやしてしまった──
わたしは首を振って 処方箋を受け取りに行った。
***
・
それから 委員会の仕事が始まって──
病院に行く回数も 一時的にめっきり減った。
・白銀
失礼。本日も 高校生連合の会議をはじめようと思う
・シャガ
ケッ
・蓮
はーい
ステージの建設は 良い感じに進んでるって
な 和戸
・ひまわり
ぅ、う うん
・白銀
ああ 宵闇建設の方からもその話は聞いている──
月桂高校の皆で 差し入れに行ってくれたそうだな
ありがとう
・蓮
そうそう……!
良い感じのステージになってるから みんな見に来てほしいぜ
・
月が丘女学院と月桂高校、それから十六夜高校に月並高校──
みんなで役割を分担して いろんな所に顔出しをしている。
来週は わたしたち月が丘がステージ建設の当番だ。
・白銀
こういった場だからこそ 共有しておきたいことがある──
「発光体」の騒動があっただろう、覚えているか?
・あやめ
もちのろんですわ! 最近ご無沙汰だった まどろみ町の超常現象!
・シャガ
ネットのバカな奴らが 騒いでただけだろ
・あやめ
なんですって! あなた 相変わらず一言多いのよ!
・白銀
喧嘩はよそでやってくれ──そう、その話だ。
新たな噂が 月並高校で話題になっている 聞いてくれ
・
白銀くんの言葉に みんなが自然と耳を貸す。
彼の言葉は凛としていて 耳に届きやすいのだ。
・白銀
当学校の生徒が 遭遇したらしい
ネットでも一部で話題になっている “ミラーミラー”だ
奴はその人物にとって もっとも大切な存在に擬態する
遊馬博士も頭を悩ませている 存在だと聞く
目撃情報は朧プラザ前、──現在建設中のステージ付近だな
来週の担当は 月が丘女学院だろう 気を付けてあたってほしい
・小百合
“ミラーミラー”……
・あやめ
上等ですわ! どんなウワサも私が 蹴散らして差し上げましてよ
・シャガ
ハッ! 喧嘩ひとつしたことねェ オジョウサマが何言ってんだか
・あやめ
きぃ~!!
・
“ミラーミラー”、この間 刊行された「オカルティック・ムーン」に書いてあった。
真人が読んでるのを 横から読ませてもらったんだ──
白銀くんの言っていた通り、その人にとって一番大切な存在に 擬態するE.B.E.──
気をつけなきゃ、と わたしは心を強く持った。
***
・アザミ
あ~~~、さぶっ
・巴
素足だからですよ、朽瀬さん……
見ているこっちも 凍えてしまいます
・アザミ
なによ。別にいいでしょ
実際に凍えるのは あたしなんだから
・
日比谷くんの言う通り ステージの設営は 良い感じに進んでいるみたいだった。
宵闇建設の人たちに差し入れを渡して わたしたちも建設の具合を 確認していた時だった。
・須賀先生
小百合さん!
・小百合
えっ ……須賀先生!
・小百合
(須賀先生の私服──! はじめて見た……)
・須賀先生
今日は月が丘女学院の子たちが 来てくれるって見たからね
ちょっと期待してたんだ 会えてよかったよ
・小百合
須賀先生は どうしてここに?
・須賀先生
はは……前 話したろう? 月並総合病院も 協賛してるって
僕は 医療班的な感じかな 設営を手伝っているんだ
・小百合
そうだったんだ──
・須賀先生
こちらは 小百合さんのお友だちかい?
・アザミ
まぁ……朽瀬 アザミです
・巴
須賀先生、ご無沙汰しています
・須賀先生
アザミさんに……巴さんだね 調子はどうですか
・巴
うふふ まあまあです
・アザミ
一花さん、やるぅ……って言いたかったけど
葛籠も知ってるみたいだし なんか有名なひと?
・小百合
あはは 月並病院の先生だよ!
・
そんな世間話をしていると──
・女の人
きゃぁあああ!!!
・小百合
大丈夫ですか!? …………え?
同じ人が ふたり──?
・女の人
気持ち悪い!! あたしの真似しないでよ!!
・須賀先生
大丈夫かい、小百合さん!
落ち着いてください、彼女はきっとE.B.E.──
・
そうすると 姿が揺らいで──
・???
……先生
・須賀先生
!
・???
先生──先生先生センセイせんせいsensei
・須賀先生
ま、……マナ──
・
彼女は麗しく微笑み その手を振り上げた。
わたしは慌てて 護身用のナイフを引き抜く。
そうして須賀先生と 彼女の間合いに飛び込んだ。
・小百合
須賀先生しっかりして! あれはE.B.E.──
“ミラーミラー”だよ!
・須賀先生
……っ すまない──
・???
sensei
・小百合
こっち来ないで! 来たら──刺しちゃうから!!
・???
……
・
“ミラーミラー”の姿が消え、辺りに静寂が訪れる。
声を聞きつけ いろんな人が集まってきた。
・アザミ
やば……E.B.E.じゃん マジで出たし
・巴
おふたりとも、怪我はありませんか!?
・小百合
うん、……わたしは大丈夫 先生は?
・須賀先生
……僕もだ すまないね 取り乱して──
・小百合
ううん──
・
引きこもりを辞めようと思ったきっかけに 須賀先生の話があった。
・須賀先生
はじめてできた 恋人がね。
──うつ病になってしまったんだ
・
よく覚えてる。見せてもらった写真も覚えてる。
勿忘草 マナさん──長い髪が印象的な きれいな女の人だった。
・須賀先生
僕は 彼女を受け入れようとした 理解しようとした
だけど 至らなかったんだろうね──彼女は……
・
あのとき 本当に悲しそうにそう話を切った須賀先生の顔も。
・須賀先生
僕の話は 置いておいて──
・
須賀先生は マナさんのことがあって 心療内科医に転向したと話していた。
“ミラーミラー”は その人にとってもっとも大切なひとのふりをする。
だから……須賀先生は──
・須賀先生
小百合さん。……そんな顔しないでおくれ
・
須賀先生にそう言われて わたしははっと我に返る。
・須賀先生
君が悲しそうだと 僕も悲しいんだ
・小百合
先生──でも、それはわたしも──
・須賀先生
あれはマナじゃない。わかっているとも
何故なら僕は マッドなお医者さんだからね
・
困ったようにお茶目に笑う須賀先生に わたしは何も言えなかった。
***
・桃也
それはアンタ……
アンタが やさしい言葉を かけてあげるべきでしょう
・小百合
う……
・桃也
先生の事情を 知ってるのはアンタだけなんだから
先生 きっと強がってたはずよ 縋りたかったはずよ
・小百合
わかってるよ わかってるけど……
・
もう、あめりも英里も 自分の部屋で過ごしている時間。
わたしや真人が 帰ってくるまで ご飯を温めて待ってくれる陣内さんは良い人だ。
だけど いつも正論ばっかりぶつけてくる。
いたたまれなくて わたしはちびちび 肉じゃがをつまんだ。
・真人
…………ごちそうさまです
・桃也
あら 真人 もういいの?
・真人
はい なんか……食べる気なくなりました
・
うんざりしたように 真人も立ち上がる。うう……
わたし 真人に好かれてる自覚 全然ないから──
わたしの話を流し聞きして 頼りないやつだなぁって思ってるんだろうな。
・真人
──あんたに 言っておきたいことがあります
・小百合
へ? わたし……?
・真人
……僕がもし 弟や妹の姿を見たとして。
・
……真人の弟妹は 確か──
・真人
そいつが 襲い掛かってきたら
そんなの 右近や 左歩じゃないと思います
そう ……思いたいです
その人の大切なひとなら 尚更そうです
あんたがその先生に 伝えるべきなのは そういうことだと思います
……それじゃ
・桃也
んもう、真人──相変わらず 素直じゃないんだから
・
真人にそう言われて わたしは考えた──
・
──わたし 須賀先生が好き。
辛いとき いつも力になってくれた あなたが好き。
あなたが 一番大切なひとも きっとそう考えてた。
だから その姿を借りた “鏡”に惑わされちゃダメだよ……!
・須賀先生
ありがとう 小百合さん
・
須賀先生は やっぱりさみしそうに笑った。
・須賀先生
マナも、そう思ってくれていたら良いけどね──
共通部分
・小百合
須賀先生!
・須賀先生
小百合さん。あれからも活動 頑張っていたみたいだね
・小百合
はい──絶対 夢見祭を成功させたいから。それに──
“ミラーミラー”のことも。任せてください!
マナさんも 須賀先生を大切に思ってるって 証明してみせます!
・須賀先生
小百合さん──
・
夢見祭は 滞りなく進んだ。
商店街から出張してきたたくさんの出店や たのしい出し物。
学生たちで協力して作り上げた謎のオブジェや 遠くからきてくれたお客様。
もしかしたら ううん もしかしなくても──
超常現象を目当てに 来たひとばかりだとしても。
まどろみ町が すこし不思議で 素敵なところだって教えたくて。
わたしたちは 夢中で奔走した。
・須賀先生
小百合さん お疲れさま。
無理してないかい……?
・小百合
須賀先生! だいじょうぶです!
みんなで手分けして 会場をパトロールしてるの!
わたしの担当は 設営ステージだから……
・須賀先生
待ってくれ 手の甲を擦りむいてる
手当てしよう こっちにおいで
・小百合
う……
・
──やっぱりわたし、須賀先生が好き。
一緒にいると落ち着いて やさしい気持ちになれるから。
・観客
──出た!! 出たあ!!
・小百合
!!
・須賀先生
まさか──
・
どよめく観客たちを割って 悲鳴のような歓声のような声の場所へ駆け寄る。
そこには、あのときと同じ姿で──“ミラーミラー”が立っていた。
・須賀先生
マナ……
・???
せんせい
・
マナさんの姿をして 観客をいじめる“ミラーミラー”。
わたしは彼女の前に飛び込んで 叫んだ。
・小百合
待って! “ミラーミラー”……
あなたも 本当はさみしいだけなんでしょ
なにかを映したくて さみしくて仕方ないだけ
わたしたちと一緒に このお祭りを楽しもう?
あなたが姿を借りてるマナさんも きっと同じこと考えてる!
・???
………………
・須賀先生
マナ──いや、“ミラーミラー”……
僕も同じ気持ちだ 一緒に楽しく過ごそう
君の気持ちは 僕が受け止めるから
・???
センセイ──
うう……
・
マナさんの姿が 均一になって──すべてを映し出す鏡となった。
・撫子
……“ソユーズ”のものです
これはE.B.E.なので 運営本部まで責任もって移送させて頂きます
夢見祭が終わる最後まで 本部で面倒を見ます
・小百合
撫子ちゃん! ありがとう──
・撫子
いえ……お仕事ですので
・
騒動は無事おさまった。
きっと写真を たくさん撮られて
SNSには いろんなことが 書かれてるのかもしれない。
でも──須賀先生の顔は晴れやかだった。
・須賀先生
ありがとう 小百合さん
マナにちゃんと伝えたかったこと──
すこしでも 届いていると良いのだけど
・小百合
先生──きっと大丈夫です! 安心して──
・アナウンス
最後の演目となりました──
「Shall we dance」参加の皆様は 第一会場までお集まりください
・小百合
あ……! 忘れてた──
・
どうしよう 誰と踊るか結局決めてなかった──
このままじゃわたし ひとりで舞台に立つことに──
・須賀先生
僕でも いいのなら
・小百合
へ?
・須賀先生
──あの時 言ってただろう?
僕なんかでも 本当にいいのなら……
お相手させてくれませんか?
・
す、がせんせ……
──もちろん!! わたし、わたし……
先生のこと、だーいすき!!畳む
🏥まどかルート、途中まで
・
「超常現象の産地・まどろみ町 複数の発光体を確認!」
──あれから一週間後。
・まどか
ふう、疲れた……って 小百合ちゃんじゃない!
・小百合
へへ……探したよ まどかさん
・まどか
また診察に来てくれたの? どこか具合悪くなった?
・小百合
ううん そうじゃないの──
・
わたしは 須賀先生の診察を終えて まどかさんを探していた。
まどかさんはちょうど交代の時間だったみたいで 診察室を離れていたみたい。
──まどかさんは おっちょこちょいで がんばりやなかわいいお姉さんだ。
一生懸命に お話を聞いてくれるのが嬉しくて
わたしは まどかさんと個別に お話することも多かった。
先日起こった 不思議な発光体のことを どうしてもまどかさんと話したかった。
わたしは不安になると まどかさんを頼ることが 多くなっていた。
・まどか
そんなことがあったの── ごめんね 最近 あまりSNSは見てなくて
・小百合
ううん! 大したことじゃないんです ただ わたしもそれを目撃して──
・まどか
本当!? 怪我はしてない? E.B.E.には出会わなかった?
・小百合
だいじょうぶです! 発光体は まだE.B.E.の仕業かもわからないって
・まどか
それなら 良かったけれど……!
ふう 小百合ちゃんのお話は いつもドキドキしちゃうわ
まるで美魚の話を 聞いてるみたい
・小百合
美魚……さんって まどかさんの妹さんですよね
・まどか
そうよ、末っ子なの
会う度に元気いっぱいで いつも振り回されまくりなんだから
・小百合
あはは
・まどか
そういえば 美魚も──この間 不思議な話をしてたわ
なんでも ものがよく消えちゃうって
・小百合
ものが?
・まどか
そう あたしも最近 身の回りのものを失くしがちなのよね……
小百合ちゃんも 気を付けてね
・小百合
き、気を付けるって……どうやって?
・まどか
え!? そうね……根性よ!
根性で持ってれば なんとかなるわ!
・小百合
アハハ……なんだか まどかさんとお話できて
わたしもちょっと 不安だったのが──落ち着いてきました!
ありがとう!
・まどか
ううん あたしこそ! 休憩中の癒しになったわ
あたしのこと 探してくれてありがとうね!
・
かわいらしく笑う姿をみて まどかさんは やっぱりかわいいひとだなぁと思った。
最初のころは わたしがうまく心を開けなくて 大変だったけど──
まどかさんは(勿論、先生も)うんと辛抱強く わたしと向き合ってくれた。
わたしは ドジっ子さんだけど でも一生懸命生きているまどかさんが大好きだ。
・小百合
(まどかさんのこと 誘おうかな──)
・
誘うとはもちろん、「Shall we dance」のことだ。
たしか 同性同士で出ても 問題なかったはず だけど──
・小百合
(まどかさんに──迷惑 かけちゃうかな)
・まどか
小百合ちゃん? どうしたの?
・小百合
あっ ううん──! なんでもないです!
・まどか
そう? そういえば そろそろ委員会のお仕事が 始まるわね
無理しないように ファイトよ小百合ちゃん!
あたしも がんばるから!
・小百合
あ── はい!
・
なんだかちょっぴり さみしい気持ちになって──
わたしは心のもやもやを 奥底に仕舞いこんだ。
***
・
それから 委員会の仕事が始まって──
病院に行く回数も 一時的にめっきり減った。
・白銀
失礼。本日も 高校生連合の会議をはじめようと思う
・シャガ
ケッ
・蓮
ういー ステージ建設だけど 問題ないってさ
この間見て来たけどいい感じに進んでた な 和戸!
・ひまわり
う、うん
・白銀
そうか ありがとう
月が丘の方では 先週“月輪のオブジェ”制作の視察に行ったと聞いた
それは どうだった?
・撫子
はい……謎のオブジェが 着々と出来てました
・あやめ
謎だなんて失礼な! 我が社が先導して制作している
月輪のオブジェ! ですわ!
・巴
どういったところが 月輪なんですか?
・あやめ
それはもちろん 花で新月を表現している点ですわ!
お待ちになって この間 写真を撮りましたの──
・巴
あ、お お構いなく──
・
月が丘女学院と月桂高校、それから十六夜高校に月並高校──
みんなで役割を分担して いろんな所に顔出しをしている。
来週は わたしたち月が丘は 来週オブジェの最終調整に 顔を出すことになっている。
・白銀
滞りないなら それで結構だ
ところで 共有しておきたいことがある
例の「発光体」の件だが──
・蓮
発光体って……こないだ月嶺の方を飛んでた ってヤツ?
・巴
UFOではないか……と噂が立っていましたね
白銀さん それがどうかしたのですか?
・白銀
そう、それだ
新たな噂が 朧プラザの方で立っている──聞いてくれ
・
白銀くんの言葉に みんなが自然と耳を貸す。
彼の言葉は凛としていて 耳に届きやすいのだ。
・白銀
朧プラザの SNSに映りこんだとして 話題になっている──
“宇宙うさぎ”だ
・シャガ
宇宙うさぎィ? ナメてんのかその名前?
・あやめ
あら! かわいいではありませんか 私は好きですわ
・シャガ
おまえには 聞いてねえっつーの!
・白銀
話を続けるぞ “宇宙うさぎ”は徒党を組んで ものを盗んでいくうさぎたちだ
一説では自身のさみしさを紛らわすために なんでも持っていくのだとか──
以上は オカルティック・ムーの 受け売りだが……
注意しておくに 越したことはないだろう
オブジェ周りにも 気を配っておくように
・蓮
……盗られるとしても 花しかない オブジェだと思うけどな……
・ひまわり
う、うん……
・
“宇宙うさぎ”、聞いたことのないE.B.E.だ。
なんだかかわいくて うさぎ好きなまどかさんを思い出して なごんでしまう。
ううん、気を引き締めないと──相手は地球外生命体だ。
わたしは 気を強く持つのだった。
***
・あやめ
どんどん 大きくなっておりますわ~!!
・蓮
あんまり大きくなっても 扱いに困るんじゃねーか?
・あやめ
度胸とオブジェは 大きい方が良いと聞きますわ
どんどん育ちなさいな~!!
・
花で月を再現したというオブジェ「月輪のオブジェ」は
この間 写真で見せてもらった時より どんどん立派になって そこにあった。
それを見上げていると 肩をとんとんと叩かれる。
・小百合
え?
・まどか
小百合ちゃん! あたしよ
・小百合
まどかさん! どうしてここに?
・まどか
うふふ 月並総合病院も協賛してるって言ったじゃない
あたしもお手伝いよ ステージ設営を見てたんだけど──
素敵なオブジェがあるって聞いたから 見に来たの!
・あやめ
まあ! 光栄ですわ! どんどん見ていってくださいな
・まどか
小百合ちゃんのお友だち? 元気いっぱいね!
・あやめ
月が丘女学院の 赤井沢 あやめと申しますわ!
こちらは 月桂高等学校の 日比谷 蓮さんですわ
・蓮
うっす 日比谷っす
・まどか
丁寧にありがとう! 天衣 まどかよ
月並総合病院で 看護師をやってます
・
そんなやり取りをしていると──
・オブジェ設営スタッフ
おーい! パレットどこやった?
・オブジェ設営スタッフ
え そこにないっすか?
・オブジェ設営スタッフ
ないから聞いてるんだよ──
リフトもないし これじゃあ 設営が進められないぞ……
・小百合
なにか 問題が起こってるみたいだね──
・あやめ
あ!! あちらを見て……!!
・
そこでは “宇宙うさぎ”たちが──
わっせわっせと リフトを運んでいる最中だった。
・あやめ
あれは──件の “宇宙うさぎ”ではなくて!?
とっ捕まえにいきますわ! 日比谷さん ついてらっしゃい!!
・蓮
あ、ちょっと! もう とんでもないオジョーサマだな……!!
・
駆けていくあやめと日比谷くんを わたしも追いかけようとしたのだけど──
・まどか
あ……あれ? あれ……?
・小百合
まどかさん! どうしたの──
・まどか
無いの──あたしの指輪
・小百合
ゆびわ……?
・まどか
どこかで 落としちゃったのかな
ううん さっきまで持ってたはず──
・
目に見えておろおろとする まどかさん。
すると あやめと日比谷くんが 息を切らして戻ってくる。
・あやめ
ぜえ はあ…… 奴ら 逃げ足 速すぎですわ!!
・蓮
そりゃそうだろ、相手 E.B.E.だぜ?
・あやめ
って お二方とも なにをやってますの?
・小百合
まどかさんの 指輪……を 探してて
・あやめ
まさか それも“宇宙うさぎ”に……?
くう……やはり意地でも とっ捕まえるべきでしたわ!
・まどか
ご ごめんなさい
あたしったら こんなとこでもドジして──
・蓮
俺らも 探すの手伝うっすよ
・あやめ
そうですわ! 一応 この辺りを見回ってみましょう!
・
──結局 まどかさんの指輪は 見つけることが できなかったのだけど──
わたしは 失くしてしまったという そのものに引っかかっていた。
・小百合
(指輪── 彼氏さんとかに もらったのかな……)
・
申し訳なさそうに謝る まどかさんを見て 胸がチリチリと痛くなる。
そうだ、だって まどかさんは年頃のお姉さんだもの。
わたしから見ても かわいいと思うんだから 彼氏さんがいるに決まってる。
なぜか勝手に ひとり身であると信じていた 自分を恥じる。
まどかたちと別れた小百合は ぼんやりと マグノリアに足を踏み入れていた──
・鈴
そんなことがあったの──
・小百合
うん…… ううう わたし 悪い女だよー……
まどかさん あんなに困ってたのに ちゃんと探してあげられなかった
・鈴
ううん 好きなひとの大切なもの 気になっちゃって当然よ
・小百合
だよね── って ええっ!? す、好きなひと!?
・鈴
あら? 好きなひとのお話でしょ?
同性でも異性でも 妬いちゃうのは 関係ないと思うけどな
・小百合
ううう……
・ミカド
小百合ちゃんも 苦労してんだなぁ……
・小百合
って ミカド──またおサボりしてるの?
・ミカド
桃也さんには 内緒にしててくれよぅ
・
鈴が暖かいココアを出してくれる。
・鈴
そうねえ 小百合──
あなたがそのひとと どうなりたいかじゃない?
・小百合
どうなりたいか……?
・鈴
そう!
ここまで😭畳む
全部で2万字くらい? 長いしちゃんと整理できてないけどせっかくなので…このころの設定などもどんどん利用していって今の形が固まったのかと新鮮でした! SWDはspring作った後にはもう制作を始めてたはずなので結構昔のことに感じます。忘れてたので発掘出来てよかったです…